広島・小園 今季最終打席で空振り三振、打率・298 来季こそ3割だ

 デイリースポーツの記者が今年を振り返る企画「番記者ワイドEYE」は、広島・小園海斗内野手(21)にスポットを当てます。今季最終戦となった11月1日のヤクルト戦の最終打席で空振り三振。あと一歩でプロ初の打率3割を逃した場面を、広島担当・市尻達拡記者(40)が振り返ります。

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 天を仰ぎ神宮の夜空に視線を送った。ベンチに戻るとヘルメットを目深にかぶり直して悔しさをにじませる。今季最終戦となった11月1日のヤクルト戦。小園が最終打席で空振り三振に倒れた。目指していた打率3割を逃した瞬間だった。

 「最後は覚えていなんですよ、どういう球を振ったとか。いつも緊張するけど、このときは、いつもとは違う緊張がありました」

 打率・299で迎えた八回1死二塁。足はガクガクと震えていた。自身の頭より高い外角直球。気持ちを抑えきれず、バットは完全なボール球に空を切った。目の前にあった3割の壁。想像以上に高かった。

 球団では1992年前田智徳以来となる高卒3年目での打率3割達成を惜しくも逃した。それでも最終盤の安打量産は来季へ期待が膨らむものだった。

 10月23、24日の阪神戦を無安打で終え、打率は・287まで低下。残り3試合だった。1試合平均3安打以上が求められる厳しい状況から驚異の追い上げをみせた。「最後まで諦めない」

 2試合連続猛打賞。最終戦も六回までに3安打をし王手を掛けた。「簡単に終わらなかったのは良かった。粘れたのは成長」。最終3試合は13打数9安打だった。

 開幕を2軍で迎えながら、昇格後は遊撃の定位置をつかみとった。113試合で初めて規定打席に到達し打率・298、5本塁打、35打点。いずれもキャリアハイの数字を残した3年目だった。

 飛躍の要因にヤクルト・川端の存在があった。1月に宝塚リトルの先輩・山田と松山市内で合同自主トレ。同じく参加していた川端にも指導を仰いだ。具体的なことについては「ちょっとナイショです」としたものの、配球の考え方や追い込まれたあとの対応など、さまざまなことを助言された。

 その指導を基にノーステップやすり足に変えたりするなど状況に応じて工夫を凝らした。確実性が増したことが好結果につながった。

 ヤクルトが日本一を決めた日本シリーズ第6戦。川端は延長十二回に決勝打を放った。「最後にシンゴさんがしぶとい打撃をされた。本当にすごいなと思って見ていました。吸収できるものはいっぱいある」。来年1月も合同自主トレに参加する予定だ。

 「本当に悔しかったので、絶対に打てるように頑張りたい」と来季の3割到達に意欲を示した。10月には第2子が誕生。守るべき人が増え、「自分一人だけではない。家族もできたので、それをしっかり養っていけるように」と前を向く。1つの空振り三振を、成長の糧とする。

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