広島・佐々岡監督 前半戦を総括「苦しい戦い続いた」主力の故障や不調、コロナで混乱

 「苦しい前半戦だった」と振り返った佐々岡監督
 右ふくらはぎを痛め、背負われてグラウンドを後にする大瀬良=4月15日、甲子園
 長距離砲としての期待に応えられず2軍落ちしたクロン
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 広島は前半戦を30勝42敗10分け、借金12の5位で終えた。攻撃では勝負どころで1本が出ず、投手陣も安定感を欠いた。主力の故障や不調、新型コロナウイルス陽性判定。佐々岡監督の前半戦総括インタビューを通して、さまざまな誤算があった前半戦を振り返る。

 前半戦の総括インタビューで佐々岡監督は開口一番「なかなかうまくいかず借金を抱えた。苦しい戦いが続いた。いろんなことが起こった」と振り返った。主力の不調や故障、新型コロナウイルス陽性による混乱。激動の4カ月だった。

 攻撃は決定打を欠いた。チーム打率・261はDeNAとともにリーグトップタイ。それでも総得点はリーグ5番目の298だった。打順はその日の選手の調子を優先し、75通りにも上った。各自の役割がその日ごとに変わる難しさがあった。

 試合の流れを変えるような一発がなかったのも得点力不足の要因。期待されたクロンは6本塁打で、6月14日に出場選手登録を抹消された。アッパー気味のスイングで変化球に対応できなかった。「ランナーがたまってのガツン。3、4点は入るんだが」と佐々岡監督。長距離砲の不在が作戦面にも影響した。

 犠打から1点を奪う攻撃を多用。5月12日のヤクルト戦では0-0の二回無死一、二塁で8番の小園に送りバントさせ、森下のバットに期待する場面があったが、無得点に終わった。確実に1点を取りにいく作戦は大量点につながらないため、チームに勢いを生むことができなかった。

 投手陣は新型コロナウイルスの影響が大きかった。5月下旬、九里が陽性判定を受け、森下と高橋昂は濃厚接触者と認定され離脱した。4月中旬に右ふくらはぎを故障した大瀬良を含め、先発ローテ4人が外れる緊急事態に見舞われた。

 5試合が延期となり5月27日の西武戦から再開した。代わりに2軍から野村、ネバラスカス、薮田、矢崎、玉村が昇格したが、結果を残したのは玉村だけで、あとの投手は1軍に定着できなかった。

 交流戦は3勝12敗3分けで最下位。チーム防御率は5・00まで膨らんだ。「先発が試合をつくれば、こっちのリズム。いきなり3、4点を取られると打って返していくしかなくなる。なかなかつながっていかない現状だった」。投打の歯車がかみ合わず、先発陣は18試合連続で未勝利。交流戦で先発投手が白星を挙げられなかったのは史上初だった。

 チームが危機に陥ったことで若手にチャンスが巡ってきた。「若い選手が出てきたことをプラスに考えたい」。田中広の不調により昇格した小園は、好調を持続して遊撃の定位置を奪取。6月13日のオリックス戦から3番に定着した。規定打席には到達していないものの、打率・326で前半戦を終えた。

 林はプロ1号を放つなど和製大砲としてブレーク。鈴木誠の後を担う5番として存在感を示した。一塁と併用で出場する坂倉は、力強い打撃でスタメンの座を勝ち取った。

 新人3投手の活躍も見逃せない。ドラフト1位の栗林は守護神に抜てきされ、開幕から22試合連続無失点。森浦は一時、勝ち試合で起用されるなど26試合に登板した。交流戦期間中に先発へ配置転換された大道は、ローテの一角を守って前半戦を終えた。「しっかりとした働きをしてくれた。彼らがいなかったら、どうなっていたのかなと思う。本当に助かっている」

 一時は最下位にも転落した前半戦だったが、最後は4連勝で終えた。投手陣が粘り、攻撃陣が応えるという形が見えた。東京五輪による中断期間中は9試合のエキシビションマッチ(練習試合)をこなしながら調整を行い、8月13日の阪神戦から後半戦に臨む。「いい形で前半を終えた。1点が取れないことなどを反省し、後半戦は借金ゼロを目指してやる」。1カ月ある時間を有意義に使い、上位浮上を目指して戦う。

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