広島・鈴木誠也「何とか抜けて」弾丸19号 13戦ぶり快感で巨人戦連敗止める

 5回、2ランを放ち、ナインの出迎えに笑顔を見せる鈴木誠
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 「広島4-1巨人」(30日、マツダスタジアム)

 3番に座る主砲が5年連続20本塁打の偉業に王手をかけた。広島の鈴木誠也外野手(26)が、1点を先制した直後の五回2死一塁から左越えに19号2ラン。13試合ぶりの一撃で4連敗中だった首位・巨人に一矢報いた。残り34試合。どんなに状況が苦しくても、ファンのために打ち続ける。

 目の覚めるような弾丸ライナーが、左翼席へ飛び込んだ。低く、鋭く伸びていった白球が失速することなく、スタンドに突き刺さる。バットマンとしての意地を込め、勝利への礎を築いた鈴木誠の一振り。これが背番号1だ。「久しぶり過ぎてうれしかったです」と本人も満足そうに振り返った一発が、本拠地を大きく揺らした。

 両軍無得点で迎えた五回だ。1点を先制し、なおも2死一塁で巡ってきた第3打席。1ボールから田口のスライダーを鋭く引っ張った。鍛え抜かれた両腕から放たれた打球が、あっという間に左翼スタンドへ吸い込まれた。

 9月15日の中日戦(マツダ)以来13試合ぶりのアーチは、5年連続の20本塁打に王手をかける一発。「全然打ってなかったので、感覚が分からなかった。何とか抜けてくれという感じで打球を見ていた」。忘れかけていた感触が、自身に絡まった重い鎖をほどいてくれた。

 開幕直後の6月は打率・343に5本塁打と、好調な滑り出しを見せた。ただ8月と9月は低空飛行。自身へのふがいなさから、悔しさをグラウンドであらわにする場面も目立った。それでも、もがきながら現状打破への突破口を探し続けた。

 9月26日のDeNA戦では154打席ぶりに適時打をマーク。復調気配を漂わせても慢心はない。翌27日の試合前練習では、打撃練習のローテーションを終えた後にスタンドティーとロングティー。朝山打撃コーチからは「うまく打とうとし過ぎて、手がボールに寄っていくので、もう一回トップから近づかず、最短(距離)でバットを出すように」と助言も受けた。

 佐々岡監督は「誠也らしい弾丸というか、すごい当たりだったね」と舌を巻きつつ、巨人戦の連敗を4で止めた立役者に最敬礼だ。

 好機で凡退するたび、ため息ばかりが耳に響いてきた。だからこそ歓喜に沸く鯉党の声が身に染みた。「たくさんの人の前で打てると頑張って良かったなって思う。これからも皆さんの前で打てるように」と鈴木誠。赤ヘルの金看板を背負う男として、最後まで必死に戦い抜く。

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