不動の3番・丸 MVP最有力! バットでグラウンド内外でチームまとめあげた

 「阪神2-3広島」(18日、甲子園球場)

 両手を突き上げ、広島・丸佳浩外野手が喜びを爆発させた。待ちに待った歓喜の瞬間だ。仲間とハイタッチを交わし、指揮官と抱き合う。胴上げの中心で、リーグ連覇の味をかみしめた。

 「本当に幸せな瞬間でした。昨季優勝したことで、周りの期待は去年以上にあった。その中で優勝という一番いい結果を残せて、ホッとしています」

 不動の3番として、チームを引っ張った。ここまで全136試合にスタメン出場。この日は3打数無安打1四球に終わったが、リーグトップの163安打、103得点など打撃全部門で上位に名前を連ね、MVPの最有力候補だ。

 交流戦では打率・411を残し、球団史上初の交流戦首位打者を獲得。6月16日・ソフトバンク戦では3打席連続本塁打をマーク。すべて逆方向に放った弾道こそ進化を遂げた丸の真骨頂だ。

 石井打撃コーチの「今年の打線のキーマンは丸」という言葉が貢献度を物語る。節目のプロ10年目。「もっと打ちたい」という純粋な思いが原動力だ。日進月歩のごとく、コツコツと積み上げてきた。

 房総半島の南東部にある千葉・勝浦で白球に魅了された。小2からソフトボールチームに加入。年長組の本塁打を見て「僕もホームランを打ちたい!」と誓った。それから素振りが日課になった。学校から帰ると近所の駐車場へ直行。ただの素振りではない。試合で打ち取られた投手をイメージし、汗びっしょりになりながら、バットを振り続けた。

 翌年、父・浩二さんに連れられて初めて東京ドームへ足を運んだ。当時は松井秀喜の豪快な放物線に魅せられた巨人ファンだった。くしくも相手はカープ。斎藤雅樹と佐々岡真司が投げ合い、ルーキー高橋由伸がバックスクリーンへ逆転弾を突き刺した。「将来はプロ野球選手になる!」。幼心に刻んだ夢を向上心と努力で現実に変えた。

 今年1月下旬、プロの原点の地である日南球場でチーム一丸の大切さを説いた。「投手を中心とした守り勝つ野球がチーム方針ですから。みんなでやる中で、去年あれだけの結果が出たので」。キャンプ前の合同自主トレでは投手の練習にも目を配り、打撃練習では投手役を買って出た。

 「リーダーと呼ばれるのは好きじゃない。司会進行役です」。その姿はシーズン中も変わらない。試合前の食事の時から相手投手の特徴について語り、試合中のベンチでは実際の印象を伝達。指揮官とも積極的に言葉を交わす。練習中、緒方監督から「疲れてるのか?」と肩を揉まれると「いいえ、元気です!」と声を張り上げた。グラウンド内外で、リーダーらしく振る舞った。

 次の目標は、悲願の日本一だ。合言葉は「つなぎ」。言葉と姿勢でナインを引っ張り、もう一度、幸せな時間に浸る。

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