薮田チーム単独トップ12勝 それでも完投できず笑顔なし
「広島6-2中日」(26日、マツダスタジアム)
課題が残ったマウンドだった。本調子からほど遠く、手探りの中で右腕を振り続けた。7回2安打2失点でチーム単独トップの12勝目を手にしても、広島・薮田和樹投手(25)に笑顔はない。与えた四球は3つ。「全体的なバランスがバラバラ。アツさん(会沢)に引っ張ってもらいました」と汗をぬぐった。
直球は140キロ台後半を計測しても、指に掛かった感覚はあまりなかった。上半身と下半身の連動性に欠き、制球は安定しない。二、三回とセットポジションから始動するなど試行錯誤を続けた。
イニングの合間に畝投手コーチから助言を受け、徐々に立ち直った。どれだけ調子が悪くても試合を崩さないのが先発の使命だ。失点は四回、福田の2ランのみに抑え、何とかリードを守った。
シーズン途中から先発に配置転換された。12日の巨人戦でプロ初完封をするなど、積み重ねた投球回はこの日で100回1/3。100イニング超えは1つの目標だった。畝コーチは「投げたことに自信をもってやってほしい」と期待を寄せた。
「無駄な四球がなかったら九回まで投げられたと思う」と薮田。毎試合のように準備している中継ぎ陣の苦しさを知っているだけに喜びより、悔しさが脳裏をよぎった。最後までマウンドを守り抜く-。理想を追い求めて、次回のマウンドに立つ。





