「巨人１－２広島」（２５日、長良川球場）

　岐阜のマウンドは、野村のものだった。地方球場独特の傾斜などに対応し、７回３安打無失点で６勝目だ。「相手はすごいピッチャー。先制点を与えないよう粘り強く投げました」。演じた投手戦を白星で飾り、笑顔で額の汗をぬぐった。

　初回を切り抜け、尻上がりに調子を上げた。１死一、三塁で阿部を空振り三振。二盗を試みた坂本勇も、会沢の好送球でタッチアウトにした。バッテリーの共同作業で無失点発進。二回以降は「マウンドにアジャストできた」。カットボールを効果的に使い、巨人打線を手玉にとった。

　「（試合を観戦する）チャンスは少ないと思うので、良い投球を見せられて良かった」。プロ野球の素晴らしさを伝えるのも自身の使命だと日々、感じている。この試合前まで地方球場は４戦３勝だったマイコラスに投げ勝った。昨季から地方球場では５試合に投げて５連勝。無敵の強さを誇っている。

　登板前には、母校・広陵が３年ぶりの甲子園出場を決めた。広島大会開幕直後から後輩たちの戦いぶりを気にかけ、情報のチェックは欠かさなかった。「僕も負けないようにと思っていました」。広陵時代に教わった「感謝」の二文字を今でも胸に宿す右腕が、１年ぶりに巨人から勝利を手にした。