広島・前田健太投手（２７）が、先発予定だった２２日・中日戦（マツダ）の雨天中止を受け、２４日の巨人戦（同）にスライドすることが決まった。畝投手コーチが「金曜日はマエケン」と明言。エースでＧ倒の先陣を切る。今季、本拠地では無傷の５連勝中。チームは借金４で５位ながら、セ・リーグは混戦が続くだけに「今は順位を気にせず、全てのチームに勝っていくだけ」と借金完済、上位浮上を強く誓った。

　午後５時４５分に中止が決まった。今季、早くも６試合目。開始を信じて待ったファンの悲鳴が響く中、前田はすぐ次戦への調整を始めた。２４日の巨人戦にスライドが決定。グラウンドで約６０メートルの遠投後、ブルペンに入って感触を確かめた。

　「あしたは試合がないので、調整は難しくないです。球宴で投げて中３日なので、いい休養と前向きに捉えて調整していきたい」

　開始直前の中止にも動揺なく笑顔で“恵みを雨”を強調した。６月２６日の中日戦に続き、今季２度目のスライド登板。前回は翌２７日の同戦で７回３失点と好投。チームに勝利を呼んだ。相手は６年連続負け越し中の天敵巨人。上位浮上へ避けては通れない相手だ。

　チームは今季、巨人戦に８勝６敗。前田自身は２勝２敗だが、好データが後押しする。本拠地では７試合に登板。無傷の５連勝中（防御率１・７６）と、絶対的な数字を残している。現在チームは借金４で、５位に沈む。だが、首位とは２ゲーム差。浮上を占う意味でも大事な３連戦になりそうだ。

　「今はほとんどのチームが上にいるけど、勝ち負けですぐに順位が入れ替わる。全てのチームに勝っていかないと。苦手意識をつくらないようにしたい」

　前田がカード初戦にスライドすることで、当初先発予定だった黒田は、２５日の同戦に回る可能性が高くなった。２人が同一カードで投げることになれば、ヤクルトとの開幕３連戦以来。以降は再び離れるが、２６日は巨人に強い福井を立て、前田、黒田と“Ｇ３連倒ローテ”で天敵に挑む。

　前田は現在６月１９日のＤｅＮＡ戦から４連勝中と好調を維持。先手必勝へカード初戦は譲れない。「まだ借金があるので。今は順位を気にするより、まずは借金をなくしたい」と前田。柔和な笑顔に余裕が漂う。勝利と同時に、求められるのは浮上への勢い。エースにチームの命運を託す。