大瀬良 津田さん命日に気迫のK斬り
「広島2-3中日」(20日、マツダ)
気迫あふれる投球で任務を終えた。九回2死満塁。広島・大瀬良は2本塁打を放っていた平田を、この日最速となる151キロの直球で空振り三振に斬った。絶対に追加点が許されない場面。己を信じ、思い切り腕を振り抜いた。
「状態は良くなかった。でも最後は真っすぐで空振り三振を取るつもりで投げた。0点に抑えられて、役割は果たせたと思う」
2-3の九回に出番が来た。1死後、安打と連続四球などで絶体絶命になった。だがピンチになればなるほど、燃えた。最大の武器である直球で押した。
躍動感ある投球は、かつて炎のストッパーと呼ばれた右腕に重なった。この日は背番号「14」の先輩、津田恒美さん(故人)の命日だった。14番に決まったときから「番号に恥じない投球をしたい。一生懸命投げている姿を天国から見ていただきたい」と心に誓っていた。安打を浴びた。四球も与えた。完ぺきな投球ではなかったが、「頑張っている姿は見せられたかな」と胸をなで下ろした。
先発から中継ぎに回り、責任の大きさや1球の重みを再認識している。「1戦1戦、相手に立ち向かっていきたい」。炎のストッパーは厳しい状況になればなるほど力を発揮した。その魂は、大瀬良の右腕にも宿っている。
