ドラ1野間「1番」で 初先発初安打

 「広島2-1ヤクルト」(29日、マツダ)

 ダイヤモンドを駆け抜ける姿が、この男にはよく似合う。広島ドラフト1位・野間(中部学院大)が「1番・右翼」でプロ初のスタメン出場。待望の初安打を放つと勢いに乗り、マルチ安打をマークした。

 「緊張はしなかった。先頭だったし、出塁できてよかった」

 初回だ。追い込まれていたが、内角低めのフォークを巧みに拾った。「体が反応した」という一打。柔らかい打撃で右翼線に運び、50メートル5秒8の俊足で悠々と二塁へ到達した。先頭の三回も中前打。リードオフマンの役割を果たした。

 守備では3度の守備機会を無難にこなした。九回2死一、二塁では「飛んできた瞬間にドキッとした」。中村の飛球を、両手でガッチリ捕球。試合後、黒田にウイニングボールを手渡した。

 自らの勇姿を見せたい人がいる。中学時代に在籍していた神戸須磨クラブの西口訓史監督だ。13年7月に脳出血で倒れ、右半身にはまひが残る。現在はリハビリを続けながら指導を続けている。年始に激励会で再会し「早く治して広島に応援に来て下さい、と言ったら泣いていました」。恩師の涙に、あらためて恩返しを胸に誓った。

 「また頑張りたい」。プロとして踏み出した1歩。これから続く長く険しい道のりも、乗り越えてみせる。

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