新井が護摩行 優勝へ猪突猛進じゃ
阪神を退団し、広島に復帰した新井貴浩内野手(37)が13日、鹿児島市の烏帽子山最福寺で11年目となる護摩行に挑んだ。同寺の池口恵観法主(77)からは「猪突(ちょとつ)猛進。不退転の決意」の心構えを説かれるとともに「臨球応打(りんきゅうおうだ)」の言葉を授かった。8年ぶりの古巣で、24年ぶりの優勝を目指す今季。「優勝しかない。それに向かい、真っすぐに進んでいく」と誓いを新たにした。
読経が絶叫に変わる。2メートルを超える火柱のすぐそばで、新井は熱風や白煙と相対していた。痛みで瞳が閉じるのを、悲鳴を上げそうになるのを、懸命に辛抱した。無心になって、くじけそうな心を踏みとどまらせた。
完遂したのは1時間半後。目はうつろになり、顔は真っ赤に腫れ上がり「何回やっても厳しい」と苦しさを受け止めた。それでも、かすれる声を絞り出して「初心に帰ってしっかりやらないと、という決意を持ってやりました」と達成感を口にした。
振り返れば04年オフ、金本知憲の背中を追い、定位置奪取を目標に初めて最福寺の門をたたいた。翌05年には本塁打王を獲得するなど通算1854安打、280本塁打を放つ名打者への階段を駆け上がっていった。
そして8年ぶりに古巣に戻った今オフ。堂林らと三塁の定位置を争う立場は、当時と重なるものがある。「この行で1年のスイッチが入る。しっかり自分の気持ちを固めることができた」。初心に帰り、前を向いた。
同寺の池口恵観法主は、火柱に2500本の護摩木をくべながら「昨年とは違う。気持ちが若返り、最初にここに来たときの感じが全身から出ている」と新井の変化を証言した。
同法主は新井に「臨球応打(りんきゅうおうだ)」の言葉と「猪突(ちょとつ)猛進、不退転の決意」の心構えを授けた。「脇目もふらず優勝を目指して頑張ってほしい。それしかない」。率直な思いをシンプルな言葉に託した。
2泊3日で行う荒行の初日を終えた。帰広後の16日には大野での合同自主トレに参加する。「順調です」と手応えは上々。春季キャンプ1軍スタートも既に確定している。自身の復活とカープ24年ぶりの悲願成就へ-「もう右とか左はない。とにかく真っすぐ進んでいく」。力強く言い切った。
