【一問一答】新井兄弟が引退後押ししてくれた

 「金本知憲引退表明」(2012年9月12日)

 ‐一番誇りに思う記録は。

 「僕の中では正直、いつも後輩たちに言ってることは連続無併殺打記録です。やっぱり内野安打でなくて、併殺ってのは打率が下がる局面ですけど、そこでも全力で一塁に走ってゲッツーになんなかったっていう。内野安打になるんだったら誰でも走るし、ならない局面で全力で走ることができたっていうのはある意味、フルイニング記録よりは全然、自分では誇りに思います」

 ‐現在、474本塁打で田淵幸一氏と並んでいる。

 「シーズン始まって楽勝で抜けると思ってたんですけどね。タイですか今。なんとか1本打ちたいです本当に」

 ‐家族にはいつ引退を伝えたのか。

 「子どもに言ったら、大泣きしてました。いつか辞めるんだよということで。母親には一番最初に伝えました」

 ‐母親はなんと。

 「体のケアをこれから…」

 (瞳を潤ませ、言葉に詰まる)

 「それだけです」

 ‐残り試合、どんな気持ちで。

 「残り20試合ないんですかね。最初は優勝に貢献できたり、優勝させてもらったりいい思いをして、肩ケガしてからは迷惑ばかり掛けてきたんで、なんとか…。あんまりうまくは…」

 (再び涙がこぼれる)

 ‐ファンに向けて。

 「かなり落ちぶれてからはバッシングも多かったんですけど、それでもこんな成績でも一生懸命…。励ましてくれたファンというか、弱った時に支えてくれた人ってのは恩人に思えます」

 ‐金本選手にとって野球とは。

 「長嶋さんじゃないですけど人生そのものですね。野球人生っていうか、野球を10歳の時から始めて、7割、8割がしんどいことで、2割、3割の喜び、充実感しかなかったですけど、少しの2割、3割をずっと追い続けて、7割、8割苦しいっていう、そんな野球人生だったですね」

 (続いて個別取材)

 ‐今、どんな思いが。

 「自分のパフォーマンス出せないだとか、体もキツくなったし、未練がましく現役にしがみついて3年間、肩を壊してから十分、未練たらしく野球やってきたしね。もうそろそろという思いもね。さみしさもあったし、今年のオフから、あんな重いバーベル担がなくていいんだなとか、無理してノドを通らないご飯を時間掛けて食べたりしなくていいんだなとか」

 ‐引退の要因は体か、気持ちか。

 「両方でしょ。主に体だと思うけど。やっぱりバッティングで思うように関節が動かない、捉えたはずのボールがファウルになったりとか、自分の思うようにバットが出なかったですから。3年間待って、実質ケガして2年ですか。2年間やって、これが限界かなって。でも野球選手として前例のない大ケガだったんですけど、専門家は2度とグラウンドに立てないと断言してましたけど、奇跡的にグラウンドに戻ってこれたんで、これに数字がついてくればもっと奇跡だったんでしょうけど」

 ‐今後の人生設計は。

 「全く何も。田中秀太が辞める時に就活の本贈ったですけど。新井良太からもらおうかと」

 ‐ケガをしてから打順も下がった。

 「まさか2010年にケガして、まさかの新井に4番取られて、今度はまさかの良太にも取られて。これは人生で最大の屈辱。あの兄弟が(引退を)後押ししてくれましたね」

 ‐阪神の4番は。

 「過酷ですね。新井のお兄ちゃんには無理ですよ」

 ‐印象に残るシーンは。

 「2003年の(胴上げを)待機してる時ですかね。2005年のウイニングボールをつかんだ時の」

 ‐一番いい投手は。

 「クルーンですかね。真っすぐだけを待って、2球連続で空振りしたのはクルーンだけなんで。コイツは本当に速いなと思った」

 (自ら切り出して)

 「三村さん、(山本)一義さん、高代さんが野球人生の土台。タイガースに誘ってくれた星野さん。常識的に広島出身の選手を誘わないでしょ。でも、最高年俸を4年間払ってもらった。ケガした3年でチャラだね」

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