マエケン平和に感謝…思い込め投げる
広島の前田健太投手(25)が平和への思いを込め、6日の阪神戦(マツダ)に臨むことを5日、誓った。広島にとって特別な日である「8月6日」。この日に本拠地で登板するのは初となる前田健は、勝利への執念とは別に「いつもと違う気持ちを持って投げる」と、神妙な面持ちで心境を明かした。
いつもは勝利へのこだわりを見せるエースが、この日は少し違った。6日の登板に備え、マツダスタジアムでランニングやキャッチボールなど調整を行った前田健。「先発の巡り合わせで僕に順番が回ってきたけど、投げられることをうれしく思っている」と、強い思いを口にした。
6日の阪神戦は、今回で6回目となる「ピースナイター」として開催される。来場者が協力して平和と核兵器廃絶を訴えるイベントとして行われ、広島出身で被爆2世の歌手・吉川晃司が始球式を行い、ジョン・レノンの「イマジン」を独唱。両チームの監督、選手らが平和へのメッセージを書いた、とうろう流しなどが予定されている。
そんな独特の雰囲気の中での試合となるが、前田健自身もいつもとは違う気持ちで登板する。
「勝ちたい気持ちはあるけど、いつもと違う気持ちを持ってやりたい。野球ができることへの感謝の気持ちを持って、(マウンドに)上がらないといけない。初心に戻るというか、自分を見つめ直す日だと思う」
大阪出身だが、広島に入団して今年で7年目。「8月6日」への思いは強くなっている。カープという球団が、原爆禍からの復興のシンボルとして設立された経緯も入団後に聞かされた。それだけに「何とか広島を盛り上げたい」と常に考えている。
盛り上げるためにも果たしたいのが、初のCS進出だ。そのためにもこれから1試合1試合が大事になる。「特別な日」に行われる6日の阪神戦も、当然負けたくない。今季の対阪神は4戦3勝1敗、防御率0・31と相性はいい。それでも「いい結果が残っていると意外と投げづらい。前のことを忘れ、1からというイメージで投げたい」と気を引き締めた。
勝てば4年連続の2桁勝利を達成するが、「(10勝は)今は目標ではない。最悪クリアしないといけない数字」と言い切った。平和への思いを込め、全力で“特別な1日”に臨む。
