「交流戦、西武２-６広島」（２３日、西武ド）

　残っている力を振り絞った。２点を勝ち越した直後の七回無死二塁。広島・野村が浅村をこん身のスライダーで空振り三振に仕留めると、力強いガッツポーズが出た。続く左打者の秋山を迎えたところで河内にスイッチ。一塁ベンチに引き揚げる右腕に、赤く染まった一塁と右翼のスタンドから大きな拍手が送られた。

　６回１／３を２失点。７安打を許し、決して満足いく内容ではなかったが、右肩痛から復帰後２連勝で、交流戦の通算成績も７戦４勝負けなし。「粘れた感じだった。調子がよくない中、バックの人たちにも助けられた」とうれしそうに笑った。

　２失点も守備の乱れが絡んだものだった。「（ピンチで）力んだ部分もあったけど、そういう中でも粘れたし、イニングで最少失点に抑えることもできた」。右肩痛発症前は連打や四球で大量失点したが、今は大きく崩れる心配はない。

　同期のライバルに負けたくなかった。今季初勝利を挙げた１７日のオリックス戦後に、巨人の菅野から「おめでとう」というメールが来た。お互いの成績はチェックしているが、５勝の菅野には大きく水をあけられている。それでも「１試合１試合自分の力を出せればいい」と焦りはない。

　昨年の状態に戻りつつある野村。山内投手コーチも「攻めた投球はできた。復調していると思う」と手応えを感じている。遅まきながら新人王右腕が存在を発揮し始めた。