“愛媛のダル”アドゥワ痛みに耐え10安打完投!松山聖陵を初甲子園に導く

 「高校野球愛媛大会・決勝、松山聖陵3-2新田」(28日、坊っちゃんスタジアム)

 松山聖陵が春夏通じて初の甲子園出場を決めた。今秋ドラフト候補で最速145キロの196センチ右腕・アドゥワ誠投手(3年)は、初回に右肩にライナーが直撃するアクシデントがあったが、痛みに耐えて10安打2失点で完投。ナイジェリア人の父を持つ“愛媛のダルビッシュ”が、角度のある速球を武器に聖地のマウンドに立つ。

 痛みに耐え、懸命に右腕を振り続けた。もう限界間近だった。最後の打者を右飛に打ち取った196センチのエースに仲間が飛び込む。アドゥワは歓喜の輪を中心で支え、喜びと安ど感に浸っていた。

 「ずっと痛みは変わらなかった。うれしいというより、ホッとしています」

 一瞬、球場が凍り付いた。初回1死一塁。相手の3番・黒川が放った痛烈なライナーが右肩を直撃した。アドゥワはベンチに戻ってアイシングをし、痛み止めを飲んでマウンドに戻った。しかし思うように腕が振れず、直球が120キロ台後半しか出ない。続く4番・泉に右前へ先制タイムリーを許した。

 「ヤバいと思いました。でも、自分はみんなの気持ちを背負っている。気持ちで投げました」

 その思いに応えるように、直後の二回に打線が4安打で3点を奪い逆転。これでエースの闘志に火が付いた。荷川取秀明監督(35)から「行けるか?」と問われ「行けます」と答えた。毎回同じやりとりが続いたが、エースは「行けます」を繰り返した。六回に1点差に迫られたあと、終盤は直球も130キロ台後半を取り戻し、失点を許さなかった。

 気力でつかんだチーム悲願の甲子園切符。熊本から応援に駆けつけたナイジェリア人の父・アントニーさん(48)は「痛いと思うけど、よく頑張った」と大喜び。元バレーボール選手でVリーグの名門・ダイエーでプレーした母・純子さん(47)も、息子の奮闘に大粒の涙を流した。

 両親から抜群の身体能力を受け継いだ196センチ右腕。プロも注目するその豊かな才能を、聖地のマウンドで披露する。表彰式後、右肩を氷で冷やしながら「甲子園でも自分たちの野球をすれば勝てる。決勝まで行って、勝って監督を胴上げしたい」と誓ったアドゥワ。痛みが引けば、幸せなチャレンジが待っている。

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