ヤクルト松岡、故郷熊本に捧ぐ今季初星

 「ヤクルト5-4DeNA」(17日、坊っちゃんスタジアム)

 その胸には、複雑な思いが駆け巡っていた。ヤクルト・松岡が今季初勝利。それでもプロ12年目右腕の表情は終始、硬いままだった。

 熊本県玉名市出身。故郷を襲った地震で、実家に大きな被害はなかったという。だが大きな被害を受けた南阿蘇村に、母校・九州東海大(現東海大)の施設がある。思い出がたくさん詰まった場所だった。

 「地震があった日、寝られませんでした。ずっとテレビを見ていました。自分が見ていた光景と全然違う光景でした」とショックを受けた。松岡の同級生は同大野球部でコーチを務めている。「言葉にできないくらい苦しい気持ち」と後輩や仲間たちのことを思い、声を詰まらせた。

 試合前には選手会長の川端らと熊本地震の募金活動を行った。試合では九回から登板して1失点したが、その直後にチームがサヨナラ勝ち。白星が転がり込んだ。「被災地の皆さんの力になりたい。プレッシャーをかけながら成績を残したい」。松岡は故郷の復興を信じ、マウンドに上がり続ける。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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