山本昌が引退 世代交代考慮し決断

 中日・山本昌投手(50)が25日、今季限りでの現役引退を決めた。今季目指した世界最年長勝利は達成できていないが、世代交代を図る球団の方針もあり、自ら身を引く意志を固めた。この日は名古屋市内の中日新聞社で白井文吾オーナーにあいさつ。中日一筋32年。球史に残る左腕が、誰よりも長いプロ野球生活に終止符を打つ。

 レジェンド左腕がついにマウンドを去る決意を固めた。ユニホームを脱ぐのか、それとも前人未到の51歳シーズンに向かうのか。球界の枠を超えて注目を集めていた大ベテランの去就。スーツ姿の山本昌が、晴れやかな表情で口にした答えは「引退」だった。

 「最後は自分で決めました。30数年、やらせていただいたので、きょうはオーナーにごあいさつにうかがいました。ここまでやらせていただいて感謝しかありません」

 1984年に中日入りして32年。「18歳のころはここまで来られるなんて思ってもみなかった」。日大藤沢高を卒業して飛び込んだ勝負の世界を、50歳まで生き抜いた。ナゴヤ球場での練習を終えると中日新聞社へ出向き、白井オーナーにあいさつ。お世話になった球団へのけじめをつけると、「今はスッキリしています」と笑顔を浮かべた。

 ジェイミー・モイヤーの49歳180日を超える世界最年長勝利を見据えていた今季。手応えはあった。春季キャンプは順調に消化。「例年以上に球がいっている」。だが、1球で全てが狂う。3月3日のウエスタン教育リーグ・ソフトバンク戦(ナゴヤ)。初球を投げた際、右膝を痛めた。

 以降は長いリハビリ。6月に実戦復帰し、8月9日に1軍で今季初先発を果たしたが、今度は22球目で左人さし指を突き指…。それでも復帰への意欲は失っていなかったが、身を引く決意を固めたのは9月に入ってからのチーム状況だ。

 「監督にベンちゃん、ガッツ…。チームが変わろうとしている時に僕が残るのは良くない」

 谷繁監督兼選手、和田、小笠原、朝倉…。竜を支えてきた選手が次々と引き際を発表した。球団に押し寄せている変革の波。世代交代を図るチームの流れを止めたくはない。落合GMから「最後はお前が決めろ」と決定権を託されていた左腕は、考え抜いた末に自ら終止符を打った。

 球史に多くの名を刻んだ。最年長勝利に最年長登板。最年長でのノーヒットノーランも果たし、最年長での200勝も達成した。高校時代は無名。プロ5年目の米国留学でスクリューボールを習得し、野球人生の歯車が回り出した。通算219勝は「フォークの神様」杉下茂の211勝を抜いて球団最多。長きにわたって投手王国の大黒柱であり続けた。

 「中日だったから、人情味のある東海地区だったから、ここまでできた。こんな幸せな野球人生は二度と送れない」

 幾多の金字塔を打ち立ててきた背番号34。誰よりも長くマウンドに立ち続けてきた男の物語が、ついに幕を閉じる。

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