球児の男気!故郷高知に無給恩返し

 米大リーグのレンジャーズを自由契約となり、独立リーグ・四国アイランドリーグplus(ILp)の高知ファイティングドッグス入団が決まった藤川球児投手(34)が8日、高知市内のホテルで会見し、「最高の決断ができた」と“里帰り”の思いを語った。故郷でのプレーは「無報酬」という異例の契約。デビュー戦は20日、四国ILp香川・徳島連合チームとのオープン戦(高知市営)での先発登板が決定した。

 故郷・高知での再出発。テレビカメラ15台、約100人の報道陣を前に、球児は晴れ晴れとした表情で口を開いた。

 「悩みはしなかった。新しい人生のスタートとして最高の決断ができたと思う」

 5月にレンジャーズを自由契約となったあと、メジャーの他球団や阪神からのオファーを蹴って高知入りを決めた。「自分がバリバリできるうちに、地元の子供たちに見てもらいたかった」。県内の野球人口が減っていることを挙げ、決断の理由を語った。

 その思いは球団と交わした異例の契約にも表れている。会見に同席した梶田宙球団社長(32)は「無報酬です」と明言。さらに本人の要望で、登板試合のチケット収入の10%を児童養護施設に寄付するという条項が含まれた。高校生以下を無料にしてほしいという願いも受け入れられた。

 デビューは20日、香川・徳島連合チームを相手に行われるオープン戦(18時、高知球場)での先発登板を自ら宣言した。27日にも愛媛との試合が組まれている。「まずは1、2イニングを目標に」と弘田澄男監督(66)。すでに7日にチーム練習に参加し、ブルペン投球も行った球児は「20日の試合に合わせて100%の力で臨めるように調整したい」と意気込みを口にした。

 2年前に内側側副靱帯(じんたい)の修復手術(トミー・ジョン手術)を受け、不安視される右肘については「健康です。自信はある」と断言。いったん自宅のある西宮市に戻ったあと、18日にチームに再合流する予定だ。

 好条件のオファーがあれば、メジャーやNPB復帰の可能性は十分にある。そのためにも故郷で「火の玉」を取り戻す。カブス時代と同じ背番号「11」のユニホームに袖を通した球児。20日の凱旋マウンドに向け「ワクワクしている。守るつもりはない。思い切り勝負したい」と力強く誓った。

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