済美・安楽 復活目指し「一番走った」

 今秋ドラフトの目玉候補で、済美の157キロ右腕・安楽智大投手(3年)が、復活に向けて本格的な実戦投球に入った。昨年9月に右肘を故障。昨春センバツ準優勝のMAX157キロ右腕が初めて味わう試練だったが、投球練習ができなかった冬場は「人生で一番走った」と徹底的に下半身を強化。夏を目指し、じっくりとトレーニングを積んだ。

 5月6日、松山市の済美球技場。智弁和歌山との練習試合で9回を投げ切った安楽は、さっぱりとした表情で振り返った。

 「ここまで予定通りに来ている。むしろ上出来なくらいです」

 8安打5失点、6奪三振。直球は最速141キロ。MAX157キロの剛腕を知る者にとって、その数字は物足りないかもしれない。ただ、この試合が3日間の九州遠征に続く4日連続のマウンド。疲労の中で強敵に勝てたことが「収穫」だった。

 長い道のりだった。昨年9月22日、秋季愛媛県大会1回戦・西条戦。安楽は右肘に違和感を覚え、三回途中で降板した。病院での診断は「右腕尺骨神経麻痺(まひ)」。肘の痛みと小指にしびれがあり、医師からは投球禁止を命じられた。

 12月末にキャッチボールを再開するまで、約3カ月間ノースロー。その後も右肘は一進一退の状態が続いた。

 不安と焦りを抱えながら、それでも安楽は前を向いた。

 「苦しくて、悔しかった。でも、ここで逃げたら後悔する。冬の間、死にもの狂いでやってやろうと思った」

 決意したのは「人生で一番走る」ことだった。毎日200メートルダッシュを50本。近くのゴルフ場での7キロの走り込みも続けた。

 「本当は走るのは大嫌い。でも、嫌なことを率先してやることで成長できると思った」。下半身を鍛え抜き、怪物右腕は春を迎えた。

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