安楽 18Uで学んだ「勝ってこそエース」
18U野球ワールドカップ(8月30日~9月8日、台湾)に出場し、日本の準優勝に貢献した済美のエース・安楽智大投手(2年)。ベネズエラ戦、キューバ戦で完封するなど計3試合に登板して18回無失点、27奪三振。防御率0・00でベストナインにも選出された。世界を驚かせた怪物右腕は9日に帰国。日の丸をつけて戦った大舞台で得た収穫、そして来春センバツ出場をかけてスタートした秋季大会への意気込みを熱く語った。
‐世界の舞台で戦って得た収穫は。
「収穫はたくさんある。大阪桐蔭の森(友哉)さんをはじめ注目選手ばかりの中で、みなさんといろんな話をさせていただいて、自分のピッチングを見直すことができた。勝てる投球を学ぶことができた。特にキューバを抑えられたのが自信になった。とても緊張感があったけど、冷静にマウンドに立てた。その冷静さがよかった」
‐日本の野球と世界の野球に違いはあったか。
「外国の打者はとにかく思い切って振ってくる。日本の打者はコンパクトに振り、しぶとい打撃をする。自分は日本の野球の方が優れていると思うけど、外国の選手は当たれば飛ぶ。だからコーナーを突くことの大切さを学んだ」
‐ベネズエラ戦では16三振を奪った。
「これまではスピードに対する周囲のみなさんの期待に応えたいという思いがあって、フォームを意識せずに投げてしまっていた自分がいた。そうではなく、勝つことが一番だと改めて考え直すことができた。フォームのバランスを意識しながら、直球も変化球も、しっかりコーナーを突くことができた。その結果、キューバやベネズエラ打線を抑えられたと思う」
‐日本代表メンバーから学んだことは。
「桐光学園の松井(裕樹)さんからスライダーを教えてもらおうと思ったけど、独特の投げ方だったので自分にはできないなあと。前橋育英の高橋光成くんからフォークを教えてもらった。キャッチボールで練習したので、徐々にマスターできればと思っています」
チームワーク伝えたい ‐チームの雰囲気はどうだったか。
「一番大事にしていたのはチームワーク。スター選手たちがアップから全力で声を出して、みんなで励まし合いながらやっていた。自分も主将なので、そういうことを済美の野球部に伝えたい」
‐森主将から学んだことは。
「とても意識の高い選手。夜に『一緒にやろうや』と誘われて体幹トレーニングを教えてもらった。1つ上の先輩に藤浪(晋太郎)さんがいて、どうすれば藤浪さんに近づき超せるのかを教えてもらった」
‐帰国して何が一番したいか。
「台湾に行っている間、主将として済美の新チームがどうなっているか不安だった。チームがどれだけ進化しているか見てみたい」
‐すでに秋季大会がスタートしている。
「(来春の)センバツがかかった大会なので、負けるわけにはいかない。自分たちは今年、準優勝で悔しい思いをしている。準優勝旗を自分1人で返しに行く気はまったくない。チーム全員で返しに行きたい」
成長して世界一取る ‐どういう投球をしたいか。
「勝てる投球をしたい。勝ってこそエース。勝たないとトーナメントではあとがない。スピードへのこだわりを捨てたわけではないけど、130キロ後半でも、コーナーに決まった球は150キロの棒球より打たれないことが分かった。そういうキレのあるボールで、自分の目標の160キロを出せれば絶対に打たれない。そういう高みを目指してがんばっていきたい」
‐来年も、この世界大会に出場するチャンスがある。
「自分にとっては甲子園に出るのが一番。でも、もう一度この舞台に出られるなら今回の悔しさをバネに成長して、世界一を取りたい」