ヤ藤本が引退会見 貫いたアニキの教え

 今季限りで現役を引退するヤクルト・藤本敦士内野手(35)が9日、都内の球団事務所で会見を行った。引退の意思を正式表明した藤本は、13年間の現役生活を振り返るとともに、阪神時代、03年からチームメートとなった金本知憲氏(デイリースポーツ評論家)の教えを胸に、プレーし続けたことを明かした。

 決意していたはずだった。だが、会見の席に着くと、胸の奥にさまざまな感慨が去来した。「いざ引退という言葉を口にすると、いろいろな思いがこみ上げてくる。決断したときはホッとしたというか、肩の荷が下りたという気持ちだったけど、寂しい部分が出てきた」。涙こそ見せなかったが、藤本の声は震えていた。

 阪神時代に慕った金本氏の言葉が、野球人生に大きな影響を与えた。「試合に出たかったらトレーナー室には行くな」。鉄人の教えを守り続け、「トレーナー室には行かなかった。お金を出してでも自分で治療して、元気な姿で甲子園球場に行く。毎日そうしていました」と明かした。阪神で2度のリーグ優勝に貢献した裏には、そうした悲壮な姿があった。

 だが、ヤクルト移籍1年目の10年、大学時代にも患った椎間板ヘルニアを発症。手術を経て再起を目指したが、体はいうことを聞かなくなっていた。「リハビリを我慢してやっていたが、回復することはなかった」と唇をかんだ。

 小柄な体での懸命なプレー。憎めない笑顔。今なお虎党に愛されている。古巣のファンに対し「温かい声援もあり、厳しい声もあり、そういう中で僕は成長できた」と感謝の言葉を口にした。

 引退後は、グラウンドの外から野球を勉強し、将来的に指導者の道も目指す。10日以降、2軍戦に出場するが、首脳陣は今後の状態次第で昇格も視野に入れており、最後の勇姿を1軍で見せる可能性もある。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス