「巨人３-４ＤｅＮＡ」（６日、東京ド）

　鋭い打球が前進守備の一塁手のグラブをくぐるように右翼線へ抜けた。土壇場の九回、１点差。１死満塁で２点二塁打。逆転殊勲打の荒波は二塁ベース上で右手を振り上げた。中畑監督はベンチで雄たけびを上げた。

　「ここで（監督インタビューを）やるのか。場所が分からなかったよ。」。おどけながら、会見場に現れた。東京ドームで１２連敗。ビジターでの巨人戦は１６連敗。不名誉な記録が、ようやく止まった。そしてＤｅＮＡにとっても、中畑監督にとっても、東京ドームで待望の初勝利を飾った。

　「オレが去年就任したとき、『巨人ファンから嫌われ者になる』と言った。この試合ができて、初めてあの言葉を実現できる結果になったと思う。もっと嫌われ者にならないとな」。

　巨人との決別を誓って、ＤｅＮＡの監督に就任した。現役時代に戦った思い出深い東京ドームで勝つことの意味は計り知れなかった。

　策を講じた。大敗した前日５日から野手４人を入れ替え、打順も組み替えた。二回は５番抜てきの筒香が同点弾。九回は怒とうの代打攻勢でつなぎ、１番に起用した荒波が決勝打を放った。

　昨季は巨人戦４勝１７敗３分け。１勝もできなかった東京ドームで、現役時代の応援歌を合唱された。「あすは“サンデー大輔”。ここで勝ち越して終わりたい」。昨季は屈辱にまみれた敵の本拠地。今度は意地の連勝でやり返す。