2025.04.24

矢作師がドバイＷＣ３着フォーエバーヤングの受けた“アウェーの洗礼”について明かす　ＥＲＡに質問と要望書送付し回答届く「建設的回答に敬意表します」

　矢作芳人調教師（６４）＝栗東＝は２４日、厩舎の公式Ｘで、ドバイワールドＣに参戦した管理馬のフォーエバーヤング（牡４歳）について、エミレーツレーシングオーソリティー（ＥＲＡ）に質問及び要望書を送り、その回答があったことを明らかにした。矢作師は同馬の待機馬房、検体所での件についてＥＲＡの見解を聞くため、また、再発防止のための建設的な意見交換を行うために、正式に文書の形で質問及び要望書を送付しており、その内容と回答文を英語と日本語で公開した。

　文書内で矢作師は、フォーエバーヤングが尿検体採取のためレース前に約４０分間暗室に入れられ、ＥＲＡ採尿担当者から整合性のない指示を受けて現場が混乱していたと明かした。結果的に尿は採取できず、装鞍所に行く準備時間がほとんどなかった馬はイレ込み、相当な負荷がかかり、体力も消耗。「彼が最大の犠牲者になってしまったことを残念に思う」と偽らざる心情を記した。

　ワールドＣの出走馬でレース前に尿検体採取を指示されたのはフォーエバーヤングだけだった。こうした負担を課した正当性に加え、馬券を売っている日本や世界のファン、メディアに対しての説明責任の２つを挙げてＥＲＡに対し、「今回の件については誤解のないよう、貴会の見解をお聞きした上で、起きてしまったことに対する謝罪を求めます」と訴え、再発防止のための建設的な意見交換を求めた。

　文書は「一貫してあるのはドバイの競馬、そしてそれを支えてくれているみなさんのホスピタリティに対するリスペクトの念です。なので、これからも、可能な限り、素晴らしい馬たちと共にこの舞台で世界の頂点に挑戦したい想いは強いです」という敬意とともに、「誤解のないように、今回の件は貴会の見解をしっかりお聞きしたく、また今後同じような悲劇が起きないことを願い、貴会からのご連絡をお待ちしています」と締めくくられていた。

　ＥＲＡの馬福祉責任者であるデビッド・クレイグ氏の回答文では、現場のカメラ映像を詳細に調べ、時系列を明記。ＥＲＡが通常行っているアンチドーピング対策の一環と説明した。矢作師の指摘について一部時間などは修正をしたものの、改善の必要性を受け入れて「感謝しています」とし、来年以降の競馬運営についても「前向きに見直す」と記した。それを受け、師は「フォーエバーヤングとスタッフが受けた行為に対する悔しさは晴れませんが、ＥＲＡが再発防止に向けて建設的な回答をしてくれた事に敬意を表します。今後ともフォーエバーヤングへの応援をお願いします」とつづった。

　矢作師はドバイワールドカップ３着のレース後、「アウェーの洗礼を受けた」と語ってさまざまな憶測を呼んでいた。８日には厩舎公式Ｘで、ＥＲＡと話し合いを行っているところであると記し、「根拠のない誹謗中傷は、是非お止めいただけますようお願い申し上げます」などと訴えていた。