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“美浦の番人”ノースブリッジが在厩でリハビリを続ける理由とは 競走馬ではほぼ症例がない「深屈腱支持靱帯の炎症」

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 現在は午前7時開門の美浦トレセン。調教スタンド付近で取材をしていると、毎日のように見かける光景がある。“美浦の番人”と呼ばれるノースブリッジ(牡7歳、美浦・奥村武)と、担当の松島久美子厩務員による引き運動。7歳となった今でも、時折やんちゃなしぐさを見せながら日々運動に励んでいる。

 デビューからの在厩期間の長さはファンもよく知るところだが、彼は昨年の天皇賞・秋11着後も引き続き在厩している。あれから約4カ月が経過した現在の状況は“リハビリ中”。奥村武師は「これは推測論だけど、道中で進路を2回ぐらいカットされる場面があった。その時にやったのかな」と唇をかむ。診断結果は「深屈腱の支持靱帯の炎症」。分かりやすく言えば、二枚貝の貝柱のような箇所で、競走馬ではほぼ症例がないそうだ。

 最近では23年中山大障害Vのマイネルグロンが、24年中山グランドJ6着後に同じ箇所を傷めて約9カ月の休養を余儀なくされた例はあるが、それは飛越によって脚部に縦の負荷がかかる障害馬の症例。横に推進する平地競走では「普通に走っていてトラブルが起こる箇所ではない」と言う。

 では、なぜ放牧へ出さずに在厩しているのか?トレーナーはこう説明する。「レアケースの故障だったので。トレセンでは定期的にエコー検査を受けられますし、必要であればMRI検査も。外に丸投げして、ざっくりとリハビリをする方がリスクが高いと考えました」。JRAから主治医を付けてもらったこともその要因の一つ。「担当の方がずっと診てくれていますし、細かい医療を受けられている」のは心強い。現状については「少し強度を上げると“3歩上がって2歩下がる”といったところ。安心してバンバンやれるところまでは行っていませんが、その中で順調には来ています」と近況を伝える。

 2月26日には、調教担当の杉木助手が騎乗しているノースブリッジの姿を見かけた。厩舎スタッフによると、それと平行してプール調教も始めたそうだ。奥村武師は「まだ速歩(はやあし)をやり始めたばかりですが、リハビリの過程としてはいい方に向いていると思います」とうなずく。精神的にも安定しているそうで、「基本的に明るい性格なのでね。もともとずっとトレセンで過ごしてきた馬ですから」と不安は全くないようだ。

 昨年はカタール、香港と海外を転戦。8月にはスーパーG2・札幌記念で3つ目の重賞タイトルを獲得した。師が「馬だけではなく、人間の方も海外に行ったおかげで成長できたかな」と振り返ったシーンを思い出す。まだまだ、これから-。そんななかで起きたアクシデントだけに、陣営の無念の思いは計り知れないが、近親にローレルゲレイロやディープボンドがいる血統背景からも、ケガさえ完治すれば、まだまだ息の長い活躍を見せてくれるはずだ。

 今後も綱渡りの状況は続くものの、復帰へ向けて、粘り強く、一歩ずつ前へ進む。「もちろん、復帰するつもりで在厩調整をしていますし、また復帰するだけでは駄目。勝ち負けレベルのパフォーマンスができるまで戻さなければならない。それゆえ、現状では軽々しいことは言えませんが、これからもスタッフ一丸となって頑張っていきたいと思います」と指揮官。クラシックの足音が聞こえてきた美浦トレセンで、陣営の地道な努力を少しでも伝えたいと思った。(デイリースポーツ・松浦孝司)

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