茅葺き民家で“心呼吸”~徳島・祖谷

 茅葺き民家「雲外」の外観。左側の建物に浴室とトイレ。廊下でつながっている
 山の斜面に広がる落合集落。ここに8件の宿泊用「茅葺き民家」がある
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 四国はJR土讃線に乗って大歩危(おおぼけ)駅で降り、徳島県にある秘境・祖谷(いや)を訪ねた。同地にある落合集落は源氏に敗れた平家の落人が再興を願ってつくったと伝えられている。古い地には茅葺(かやぶ)き民家が残り、その一部が洋のテイストを持った宿泊施設として生まれ変わった。付近は街灯もコンビニもなく、街の喧騒とは無縁だ。めっちゃ静かで暗い山の奥。雑音だらけの日常から解放されて孤独バンザイ!

 ◇   ◇

 宿泊用に改築された茅葺き民家は全8軒。その中の「雲外(うんがい)」に泊まった。

 内部はさえぎる壁がなくて広々。天井もないので一層広く感じる。いろりが実にいい雰囲気を醸し出している。ただし、これは見て楽しむのみ。

 リビングの大きな窓が祖谷の山々に面していて抜群の開放感。聞こえるのは風と鳥の声くらい。大声で電話をしまくる人間が多い会社とは大違いの静けさだ。付近に街灯はなく、日が沈むと真っ暗闇に。訪れた日は曇りだったので月明かりもなかった。

 現存する落合集落の民家は、江戸中期から昭和初期にかけて建てられた。茅葺きはススキで作られている。1950年代までは組単位(集落の数件)で葺き替えをしていた。以降は人手不足もあり、トタン屋根に変えることが目立ってきたという。

 空き家だった民家8件を所有者の了解を得て徳島県三好市が改修。米国出身の東洋文化研究家アレックス・カー氏がプロデュースした。カー氏は祖谷の魅力を著書「美しき日本の残像」などで訴えてきた。純和風な外観とは異なって内部は床暖房が整うなど設備が充実。滞在者の1割は外国人で好評という。

 集落の人口は約50人。何十年も前に初めて外国人が訪れたころ、住民は驚いて家の中に引っ込んでしまったという。しかし、今では英会話を習って積極的にコミュニケーションをとる人も増えてきた。

 広い部屋で1人で気楽、快適…だったが、やや寂しい。「咳をしてもひとり」。尾崎放哉の句を思い出した。

 ▼茅葺き民家ステイ 一棟を丸ごと貸し切る。棟によって宿泊可能人数も変わる。IHキッチンに調器具、食器、調味料もそなわって自炊可能。ケータリングサービスを受けることもできる(別途料金必要)。値段は利用時期、人数で変動。「雲外」では、安い時で1人1泊1万円、高い時で1万8千円(2人利用時)。詳しくは桃源郷祖谷の山里 http://tougenkyo‐iya.jp/index.html 電話では茅葺き民家ステイ受付事務所(0883・88・2540)。

 ▼落合集落 JR大歩危駅から四国交通久保行きに乗って「落合バス停」下車。国の重要伝統的建造物群保全地区に選定。高い所の標高は約900メートル。大歩危駅へは新大阪駅から新幹線に乗って岡山駅で降り、JR特急南風に乗り換え。岡山駅からは約1時間45分。

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