ブランドを背負う宿命
【10月1日】
勝利の女神が甲子園に来ていた。5時間5分、最後までバックネット裏で観ていた。誰もが知る大物。でも、ごめんなさい。彼女、プライベートなのでオフレコで。ただ、ご安心を…。
V紙面に彼女のきょうの様子も記すので、楽しみにお待ちください。
勝利の女神はこの夜、大山悠輔に注目して観戦していたという。
なぜか。きのうの当欄で僕が大山について書いたから…だという。
拠点は東京。地元は関西。視界は世界。こちらが想像できないほど多忙な人だけど、ありがたいことに、このコラムを長く愛読してくれている。
僕があるゲンを担げば大山は打つ…そんなふうに書いたので、そのゲンが何か知りたそうだった。
残念ながら勝てなかった。でも、負けなかったのは、彼女のおかげ。そう思いたい。それにしても、六回の同点弾、そして、九回二死からの同点打…大山の無類の勝負強さを見てもらえて良かった。自分の手柄でもないのに、誇らしく思う。
ところで、なぜこの女性が「勝利の女神」かといえば、シンプルに観戦試合の勝率が高いから。敵地では神宮では負けなし。甲子園でも…
こどもの頃から虎党だけど、ふだんは球界全体に目を通す仕事をする。だから、野球ファンを驚かせたこの日のニュースには心を痛めているはずだ。 カープの複数選手が戦力外通告を受けた。「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物を使用したとして若い選手が逮捕されて以降、カープはもう野球どころではなくなった感が否めない。無関係の選手、スタッフは不幸でしかない。今回の処置はその余波に違いないが、疑念のかかる選手も無実であってほしいと今も願う。
阪神の球団幹部がカープのこの問題について言及することはなかった。というか、言及する立場にないのだからコメントは要らない。これを対岸の火事と見る向きは阪神にはないし、巨人にもないと思う。
それはそうと…。5時間ゲームを振り返れば、どうなってるんだ?この夜の虎は…。初回の無死満塁。二回の無死一、三塁。三回の1死二、三塁。四回の2死二、三塁。五回の無死一塁…。このチャンス、すべて0。
若いころ取材した暗黒期の虎はこんなことザラ。いや、こんなに毎回チャンスを作ることもなかったか…。しかし、黄金期でこうなれば、ため息もかつての2倍、3倍…強虎の宿命だ。
さて、カープの事件に触れて、あらためて思う。じゃあ、タイガースの選手はどうあるべきか、と。阪神球団社長の粟井一夫は一年目の選手に必ずこんな話をする。
「いいことをすれば、一般の人の2倍、3倍、褒められる。一方、悪いことをすれば、2倍、3倍、叩かれる。選手生命が失われるかもしれない。それがブランドを背負うということ」
フィールドの内でも外でもブランドを背負い、半歩進んだ。連覇への重圧と向き合いながら、いざ広島へ。=敬称略=
