LEGENDの凄み

 【7月7日】

 THE LEGEND 

 THE FUTURE

 サッカーW杯スペイン対ポルトガルのスタンドにそんなふうにペイントした応援幕を掲げるファンがいた。

 強豪対決を制したスペインのサッカーは素晴らしかったが、試合後、DAZNの映像に長い時間映ったのは2人の英雄。スペイン代表ラミン・ヤマルとポルトガル代表クリスティアノ・ロナウドである。両者の抱擁は欧州サッカー界の世代交代を象徴するシーンだった。今大会限りで代表を引退するであろう41歳のロナウドと、未来が明るい18歳のヤマル。国籍を越え、両雄を称賛する米ダラススタジアムの感動が伝わってきた。

 さて、こちら東京ドームのスタンドもレジェンド、フューチャーへの拍手が鳴りやまなかった。お立ち台にあがったのは、37歳の坂本勇人と、プロ初安打の26歳、知念大成。ウチのハルトを打った新旧のヒーローを眺めれば、そりゃ悔しい。サッカーの見過ぎで寝不足…イライラしているのは自業自得だけど、球団を越えて晴れやかな気持ちにはなれないのは度量が狭いのか。

 それでも冷静に彼らのコメントを聞きながら、敵ながらアッパレ、いや、ちょっとこの先手ごわいなと思ったのは、どちらかといえば、レジェンドの矜持に対してだ。

 坂本勇人は「いま若い選手が試合に出ていますけど…」と切り出し、丸佳浩や自分たち、年齢を重ねた面々もいつだって「準備はできている」と、胸を張っていた。

 無敗の高橋遥人に土がついた夜だけど、指揮官の藤川球児が「もう十分にやってくれていたと思います」と振り返ったように、内容は悪くなかったし、失点した投球も責められるべきものではない。今年初めてバッテリーを組んだ梅野隆太郎の配球も良かった。そういう意味でも、この夜は紙一重。ハルトを撃ったハヤトを褒めるしかないゲーム。そんな総括をしたい。

 褒めるといえば、今後必ず球界のレジェンドになるであろう男の成長も称えておかなければならない。

 阪神が1点を追う六回。2死一、二塁で佐藤輝明がフルカウントから素晴らしい打撃を見せてくれた。左中間への2点タイムリーは、僕の中では今年5本の指に入る打点だ。巨人は1点を守ろうと4番封じに変則左腕の高梨雄平をマウンドに送り込んできたが、これを輝が粉砕したのだから虎党もたまらなかったはずだ。

 あのシーン、フルカウントにした…つまり、カウント2-2から輝が外のスライダーを見極めた時点で軍配は定まった。試合後、虎番の取材に彼がどう答えたか分からないが、おそらく最後は外スラ一本。コースも球種も、打ち方も打球方向もすべて描いてバットを振りにいったような気がする。外の変化を軽打し、ショートの頭上を越して左中間を…走者を2人返すためにこれ以上ない打撃だった。じゃ、巨人バッテリーはどうすれば良かったのか。今年の輝は無理。そう思っていただければ次戦も戦いやすい。 =敬称略=

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