「予想」は困難。でも…

 【5月24日】

 そろそろ打つと思ったんだよ…お茶の間からそんな声が聞こえてきそうだ。立石正広が五回にプロ初ホームラン。それにしても、これほどまでに期待通りの才能があるだろうか。

 ルーキーのメモリアル弾を拝んで思い出すのは昨年冬の入団会見だ。

 「広角にホームランを打てる自信がありますし、強いコンタクト力で打球を飛ばす自信があるので、そこは頑張りたいと思います」

 「2桁本塁打にはこだわってやっていきたいと思っています」

 頼もしいコメントが懐かしい。

 大学時代から逆方向に打球が伸びる定評があった。きっとリストも強いんだろう。体に近いところも攻められ膝をつく場面もあったが、臆することもない。佐藤輝明のヒットで二塁から生還した七回の走塁技術も非凡だったし、守っては初めて本職のサードに就いてそつなくこなした。チームメートは誰も立石を新人と思っていないだろう。火曜からの交流戦開幕を控え、おかしな言い方だけど、頼もし過ぎるレギュラーが加わった。

 立石がデビューして5戦5勝で首位浮上である。大物であることは承知していたが、しかし、いきなりここまでの活躍を予見できたかといえばどうか…。逸材でもプロの実績はゼロなわけで、予想は難しいもの。これからパ・リーグとの連戦で、この5試合のような活躍が保障されるわけでもないが、それでもワクワクの予感は漂う。

 そもそも「予想」という行為は困難で、アテにならないものであることはよく知られる。ギャンブルしかり、株価しかり…。評論家によるプロ野球の順位だってそうだ。誰が阪神がヤクルトと首位を争う展開を予想した?

 予想が当たらない理由は未来が過去の延長線上にないからだ。どの筋の専門家も希望的観測や印象に引きずられることが多い。ヤクルト?○○も○○も弱いやん?プロ野球OBといえど、自らに都合良き情報ばかり集める「確証バイアス」から逃れられない。

 セ・リーグ上位の「交流戦開幕カード」を見れば、阪神は甲子園で新庄ハムと。巨人はソフトバンク、そして、ヤクルトは埼玉西武とやる。なんだ、イケヤマジックに追い風か…なんて書けば、獅子党に怒られてしまう。

 セ波乱の主がヤクルトならパ・リーグのそれは西武が担う。オリックスと首位を争うその原動力は阪神のお株を奪う投手力だ。エース今井達也の抜けた穴が案じられたが、なんのなんの。チーム防御率は12球団ダントツの2・70(24日時点)。開幕前の下馬評はヤクルトと同じくもっぱら下位だったけれど、日本ハム、ソフトバンク、2強予想の牙城を崩しにかかっている。強固な投手力を盾に…という意味では、交流戦3カード目の虎獅子マッチが、スラッガー立石の試金石にもなる。

 そろそろ打つと思ったんだよ…

 これはこっちのひとり言だ。梅野隆太郎が3年ぶりのホームラン。34歳が久々に一発を放つ予想は実はあった。近いうちに僕なりの取材を書いてみたい。=敬称略=

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