球児が歓迎する「渋滞」

 【2月25日】

 25日間の沖縄キャンプを総括すれば阪神監督の藤川球児をはじめ、選手、スタッフ、関係者、そしてファン、その全員が間違いなくこう口を揃える。

 「混んでたね…」

 取材者の多くは沖縄本島中部の宿泊先から宜野座村のキャンプベースまでレンタカーで行き来する。利用する高速道路は夕方の混雑ぶりが例年に増して酷かった。20年以上阪神キャンプを取材してきたが、今年はワーストだ。

 なぜ、こんなに混んでいたのか?

 キャンプインした2月1日の沖縄タイムスを思い返せば、沖縄自動車道では開通後40年以上の道路がおよそ4割あり、なかでも阪神関係者が利用する「石川-許田」間が最も古く、更新時期を迎えていたことが記されていた。

 宜野座の隣町、金武(きん)町の議会は1月末に臨時会を開き、NEXCO西日本へ「渋滞の影響を最小限にするよう求める決議と意見書」を全会一致で可決したが、昨年開業したテーマパークへの来場客も相まって2月の渋滞緩和はならなかったようだ。

 さて、本題も「渋滞」の話を書く。雨模様で最終日を迎えた1、2軍のキャンプは、球児がMVPに9人を挙げて締めくくった。キャンプの殊勲者を監督が指名する慣習がいつから始まったか記憶にないが、これだけ混戦の選出は初めて。彼らの飛躍を楽しみにする一方で、当欄の関心は開幕へ向けた不確定要素へ向く。とりわけ野手のレギュラーにどんな変動が加わるのか。

 虎将は用兵に「悩まない」といつも言う。力のある者を起用するという意味において。しかし、全体のレベルを上げるためにも「渋滞」を期するのは何もショートやレフトだけではないだろう。悩むほどの底上げ、突き上げを歓迎して若い9人を挙げたと察する。

 そもそも2月にレギュラーが定まるとは思っていなかったが、輪郭がはっきりしない主因は故障明けの立石正広が土俵に上がっていないことにある。球児は総括会見で立石について「こちらがコントロールすることはない」と語っており、黄金新人がいつ実戦デビューし、どのポジションに就くのか、もう少し見守らなければならない。

 混み合うショート争いについては、勝手な推察を書かせてもらえば、指揮官は、ずばり、小幡竜平を軸にシーズンの起用を考えているのではないか。C・ディベイニーの順応を算段しつつ、やはり「守りの野球」を主眼に置くリーダーだからプライオリティーはきっと…。打撃でも助っ人を凌駕する期待をもって小幡を見ていると思う。もちろん、名手熊谷敬宥にも、復権を期す木浪聖也にも熱視線を送りながら。

 いずれにせよ、用兵以前に気を配るのは選手の健康。そんな球児のためにも沖縄を離れる前にお祈りしておきたかった。立ち寄ったのは海中道路の向こう側、沖縄中部の宮城島だ。ここには「龍神風道」というパワースポットがある。美ら海の神「龍宮神」のエネルギーが枝葉の風穴を通って注がれ、心身の健康を叶えるとされる。さあ、神の気を感じながら帰ろう。風路も帰路も滞りませんように。=敬称略=

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