とさのだしを効かせたい
【11月13日】
明日から高知市内で「とさのだしフェス」が開かれるという。鰹(かつお)三昧だった安芸出張からきのう帰阪の途についた。そんなフェスがあるなら、もう1泊したかったな…。
鰹はもちろん、鰹節(かつおぶし)も高知の名産である。鰹節といえば土佐節といわれるほどで、そのシェアは全国トップ3…って知ったかぶりで書いているけれど、まあ、想像通り。全く知らなかったことを書けば、土佐節の製造技術が「国の無形民俗文化財」に登録されていること。今回のフェスでは土佐節の「だし汁の飲み比べ」があるというから、よだれが出てくる。
奈良、京都で育った僕にとって「だし」といえば「山車」だけど、高知では「だし」は「出汁」に違いない。
いやぁ、出汁のもとが気になるほどウマかった。この日、安芸球場で報道陣に振る舞われた「藤川球児監督のまかない飯」は、タコスカレーライス。これがもう絶品で…。だから、思わずスタッフさんに聞いてしまった。
だしは何で取られています?
「カレーのだしですよね?大量の鶏と玉ねぎとトマトです」
これ、書いても問題ないですか?
「いいですよ。記事になります?」
これは書きたい…。
おい、阪神を書けよ。
はい。ここからは野球の「出し」の話を…。
安芸のメイン球場で稀少なシーンを見た。臨時コーチ糸井嘉男とともに指揮官の藤川球児が前川右京に身ぶり手ぶり何かを伝えている。ロングティー打撃の最中に投手出身の監督が指南することは、僕の知る限りあまりない。
かつての秋季キャンプで当時の監督
金本知憲が打者目線で才木浩人に助言していたことがあったが、その逆。きっと球児は前川に「投手目線」を伝えているのだろう。そんな臆測を持ちながら指揮官の囲み会見に入った。
シーズン中から「投手目線」で前川の打撃に対して感じていることがあったのか?そう問えば、球児は言う。
「そうですけれど、シーズン中ですからなかなか言うことはないですし、自分は監督ですから投手目線になることは基本的にないんですけど…。バッターがフォームを動かそうとする時にピッチャーだったらこうしようかなというのは、そのレベルにいってる者だから談義ができる。その中に何かを変えようとしている前川がいるというところになりますから。これはある意味でいうと、監督とかではなく、アスリート同士の話し合いの中に若い選手がひとり聞き混じるというところですから。これは春はできないんですよね」
右京にとっては何物にも代え難い。超一流の投手はあなたと対峙するときこんな目線で向かいますよ、と…。
「前川みたいに、悩む、つまずくは当たり前なんですけどね。みんなつまずいてる選手ですからね…」
球児は柔和な声色でそうも言った。
この貴重なインプットを叶えることで、本人も見ているこちらも、アウトプットが楽しみになる。春の「出し」を効かせる秋にしたい。=敬称略=
関連ニュース





