「正の連鎖」の起こし方
【7月29日】
イマドキな装いの「抹茶館」の玄関にその石標はある。河原町通を歩けば四条通を上った東側。抹茶パフェ、ほうじ茶ラテ…スイーツの看板とそれがミスマッチでまたおもしろい。
「中岡慎太郎 寓居之地」
坂本龍馬の同志が身を寄せた土佐藩御用達書林菊家の跡地である。
取材でぷらっと京都へ行ってきた。幕末史に目がない僕にとって垂涎の史跡はたまらない。龍馬と中岡慎太郎が暗殺された近江屋の跡地はカラオケ店になっていて驚いたけれど、今回もっとびっくりしたのは…あのFCバルセロナご一行に遭遇したことだ。アジアツアーで日曜日にヴィッセル神戸と親善試合をしたばかり。この日はオフを観光に充てたのだろう。チャーターバスに乗り込む常勝軍団を目の当たりに欧州サッカーにも目がない僕はミーハー丸出しの顔になっていた…。
前置きはさておき、こちら進撃真っ盛りの甲子園である。球団社長の粟井一夫から「最近コラムおもしろいね。内容が多岐にわたってて」と、お褒めの言葉をいただいた。猛虎が好調だから饒舌?いや、常に兜の緒を締める人だから浮かれる様子はない。でも、ひねくれた僕は思う。「最近おもしろい…」ってことは以前はそうでもなかったということか。そうなんですよ、社長。こんな拙コラムでも、ずっと一定の質を保つのはしんどいもので…。
「あ、風さん、こんにちは…」
菊池涼介と束の間、話をした。
キクに聞きたいことがあった。あなたはカープ3連覇の立役者だったけれど、独走するチームの主軸って内心怖かったりしないのか。ずっとこんなにうまくいくわけないぞ…みたいな。
「そういう怖さはなかったですね」
記憶の限り、特に16年の優勝シーズン、キクはスランプなかったよね?
「結局、野球ってメンタルのスポーツなんですよね。あれだけ勝っていれば、別に打てない打席があっても次に取り返せばいいって思えるんですよ。守備でミスしても打って返せばいいじゃんって思える。うまく回るんです」
強虎の屋台骨を支える石井大智に試合後、聞いてみた。チームが勝ち続けることで個に作用する効果について。
「僕自身は順位関係なく自分の仕事をするというのは変わらないので…。ただ、チームとしていい循環はできているとは思います。先発も中継ぎもそれぞれ頑張るべきところで頑張って勝ってきましたし、投手がきついときは打者が打って…そういうところはうまく回っていると思います」
ずっとうまくいく。常勝の組織を築くのは難しい。が、リーダーが創意を凝らし勝ち続けることが個のメンタルの安定を生み、いわば「正の連鎖」が起こる。16年からの3年間はカープがそうだったし、サッカーでいえばFCバルセロナがまさにそういう組織だ。
こじつければ、時代を越えてそうかもしれない。坂本龍馬と中岡慎太郎は既存の枠組みにとらわれない言動で激動の時代に「連勝」し、「正の連鎖」を生んだ。いま、藤川球児にそんな土佐志士の影を見る。=敬称略=
