灼熱の11K。酷暑の完封
【6月29日】
旧知の左腕を見に行ってきた。大阪吹田の関西大学である。彼のマウンド姿を見るのは2年ぶり。前回は高校時代最後の夏…。身長189センチから角度のついたまっすぐは、進化していた。
関西大硬式野球部の主務の方に取材の許可をもらって、関西学生野球連盟の前期チャレンジリーグ関西大対関西学院大を観戦した。主に1、2年生が出場する初夏の公式戦は昨今の異常な暑さを考えれば消耗戦でもある。この日の千里山キャンパスはグラウンドレベルが40度近くまで上昇した。こっちは携えた500ミリの冷茶がなんぼあっても足りない。炎天下のマウンドはえげつないコンディションだろうけど、関西大先発の百合澤飛(ゆりさわ・たか)はそれでも力投を見せてくれた。
7回途中、11奪三振。制球面など、本人は重々課題を自覚しているはずだけど、マックス150キロ超の大型左腕はまだ2年生。将来を思えば魅力しか感じない。バックネット裏で関西大の学生に聞けば、この日の百合澤の最速は149キロ。指にかかったときのまっすぐは関学大のクリーンアップもファウルにするのがやっとだった。失点した七回には失投もあったけれど、長い目で見守りたくなる逸材である。
縁あって島根・開星高の2年時から彼を知っている。糸原健斗も敬う名将野々村直通に師事しただけあって礼節のしっかりした、人間的にも申し分ない野球人だ。ちなみに、関西大のメンバー表を見れば、もうひとり旧知の選手が…。その父親のケータイを鳴らしてみると、「メンバーに入ってないでしょ?入ってる?マジですか?」。新井貴浩の次男・颯真(1年)が背番号40をつけて控える今大会でもある。息子の成長を楽しみにするカープ監督に百合澤のことを話せば、「いい投手らしいですね」。しっかり情報を掴んでいた。でも、百合澤にはぜひとも…いや、私情を書くのはやめておく。
さて、そんな旧知の左腕もきっと参考にしたくなる虎の左腕が酷暑の神宮で頼もしく腕を振った。2安打完封でチーム40勝を呼び込んだ伊藤将司だ。
直球の平均球速は142キロ前後だけど、受けた坂本誠志郎は試合後の取材で「まっすぐに凄く強さがあった」と話したそうだ。変化球も終始低めに集まっていたし、この炎天下で九回になっても精度が狂わなかった制球に頭が下がる。きのうはデュプランティエ-坂本誠志郎バッテリーの「時短」投球が「守る野手を助けた」と書いたが、この日、伊藤将の灼熱完封をアシストしたのは2戦連続無失策の野手陣ともいえる。また、五回の攻撃では伊藤将のスクイズが相手ミスを誘って自身も長く塁に残り、心配症な筆者は体力消耗を案じたが、中野拓夢の犠飛で左腕が生還してから野手もベンチもうまいこと時間を稼いでいたように見えた。
それはそうと、関大対関学の熱戦で耳についたのは「(得点を)ベンチで取るぞ」「ベンチで守るぞ」という選手達の掛け声。投球する者、打席に立つ者…以外の力も結集させることが、プロもアマもこの炎熱の夏を乗り切る鍵になるかもしれない。=敬称略=
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