とやかく言うつもりはない

 【12月2日】

 結局一睡もできなかった。前夜外食から帰宅し、夜中2時半まで仮眠する予定だったのに、目が冴えて大一番の歓喜まで目はギンギン。朝は朝で余韻に浸って各局のニュースをハシゴし…。

 スペインを撃破したニッポンにあらためて新スターの誕生を確信した国民も多いと思う。同点ゴールの堂安律、決勝ゴールの田中碧そして、MVP級の攻守で無敵艦隊を沈めた三笘薫である。

 サッカーに興味のない人も、長友佑都が試合後のインタビューで「ブラボーッッ!」と叫んだ朝6時頃は、出勤や通勤に備えもうテレビをつけていたかもしれない。

 ABEMAでは本田圭佑がスペインの強さと隙を分かりやすく解説。今回も堪能させてもらった。

 そして、スペインといえばやはりこの男。このW杯が始まる前まで、その名が国民の間で田中や三苫、堂安よりもポピュラーだった久保建英のパフォーマンスについて、個人的には「本田の採点」をもっと聴きたかった思いがある。

 「勝ったんで、すべてがどうでもいいんですけど、個人的には、きょうあの前半戦の出来で、僕、代わると思ってなかったんで。悔しい気持ちはありましたけど、ベテランの選手に声をかけてもらって『チームを信じろ』ということで、後半に入った律選手が一発のチャンスで決めてくれて…」

 これは長友のあとインタビューに応じた久保のコメントである。

 森保一はハーフタイムに右のシャドーを久保から堂安に代え、この用兵が見事に的中することになるわけだけど、交代に納得がいかなかった悔しさを久保はカメラの前で隠すことをしなかった。

 「皆見てて僕のコンディションいいなと思っていたと思うんで。結果を残せなかったので、これ以上とやかく言うつもりはないですし、まあでも、コンディションはいいので、次に向けていい準備ができるかなと思います」

 スペインと戦ってどうでした?そんな質問にも久保ははっきりと負けん気をにじませた。小学生でFCバルセロナ(下部組織)の入団テストに合格し、日本のメディアでも大きく取り上げられてきた鬼才は、現在のスペイン代表に何人か友人もいる。フル出場で鮮烈な「恩返し」をしたかったはずだから〈なぜ、好調な俺が交代だったのか〉の不満も分かる。

 この弁だけを切り取れば、ややもすれば、ベンチ批判に聞こえるかもしれない。でも、もしそうだとしても大いに結構だと思う。プロである以上、それくらいの矜持が溢れ出なければ…とさえ思う。

 眠気半端ない日の甲子園は、虎の司令塔・梅野隆太郎が契約更改にのぞんでいた。岡田彰布は現状捕手の併用を否定し「正捕手は梅野でいく」と語っているが、プロの世界で競争がないわけはない。

 この出来で、俺、代わると思ってなかったんで-胸を張って負けん気を語れる者が気がつけばサバイバルを制している。「皆が見てコンディションがいい」捕手。司令塔とは絶対的な評価を要するポジションである。=敬称略=

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