大山悠輔に聞いた「秋」

 【11月18日】

 目をファインダーとするなら、いわば「悠輔カメラ」になってみた。それくらい、大山悠輔にピントを合わせた安芸キャンプ第4クールの最終日だった。打撃も守備も見た目に奇抜な変化はない。

 新監督の岡田彰布から「こうすればもっとようなる」と指南されたのは打撃である。ミートポイントを前にすること、そして、ボールを上からたたきスピンをかけること。簡単に書いてしまえば、それらが秋のチャレンジである。

 安芸へ発つ前に報道をチェックしていたので、予習済みのファインダーでシャッターを切った。

 なるほど。確かに…。いや、正直なところ「解る気がする」だけで、本人の繊細なアプローチを解説できるのは本人のみ。

 大山にじっくり話を聞かせてもらった。

 自分を省みて大きく変えられる秋。開幕までの「猶予」という意味では、唯一この時期だから取り組めるモデルチェンジ、または、強化したい持ち味について、大山の算段とはどんなものか。

 「岡田さんが監督になられて、『前で打て』と言われていますしそれは今しかできないことでもありますので。シーズンが始まれば(打つのは)まっすぐだけじゃないですし、そういう意味では、今は変化球を打つことがないので、とにかく極端に…と思って意識しながらやっています」

 今しかできない…大山の言葉を補足すれば、意識付けを型に還元する反復作業は、2月では遅い。11月のアプローチを「極端に」しながら新仕様を整えたいのだ。

 一方で、22年の自身を俯瞰すれば、手応えを感じ得た「進化」もあったと思う。

 「今年意識して良くなった部分もあります。コーチ、スコアラーさんらと話し合いをして今年一年どういうふうにやっていこうかという中で、追い込まれてからのボール球のスイング、泳いでみっともないというか、そういう空振りも多かったので、それは減らしたいよね…という話になって。それは今年一年続けられたかなと思いますし、その分フォアボールの数も増えましたので、そこは続けたいというか、もっともっと良くしたい部分でもあります。それを踏まえたうえで、『前で打つ』ことを意識していきたいので、また少し感じも変わってきますけど、そういうところは両方頭に入れつつ…だと思っています」

 昨シーズンと比べると、出場試合数、打席数がやや減った中で、四球の数は20以上増えた。「みっともない」と自省した「2ストライク後のボール球の空振り」を極力ゼロへ寄せたい。打席でのトライアンドエラーは「こんな取り組み」だと容易に言葉にできるものではないけれど、四球という強打者に不可欠な産物が収穫になったことは、はっきり語った。

 来季7年目。「もう」なのか、「まだ」なのか。体内時計の針はどんな時間軸で刻んだのか。

 「あっという間でした…」

 大山は僕にそう言った。

 続きは次回。=敬称略=

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