清原さんに聞きたいこと
【4月19日】
なんだか今からソワソワしてきた。きょう、横浜でのDeNA-阪神戦の放送席にあの人が座るという。球場でお目に掛かったのはずい分前のことに感じる。僕らの世代のスーパースター…
清原和博である。
「今年初の解説に緊張しています。横浜DeNAの牧秀悟選手、阪神の佐藤輝明選手のバッティングに注目しています」
同戦を生中継する関西テレビの発表で、キヨさんはそんなふうに意気込みを語っていた。
キヨさん…いや、ご本人の前で気安く声掛けしたことはない(できない)。金本知憲が現役時代いつもそう呼んでいたので、僕も勝手にそう書かせてもらっている。
「緊張しましたよ。ピアスが光っていて…イイ匂いもしました。ああ、これがプロ野球選手なんだ…と思いながら見ていました」
これは16年前の大和のコメントだ。当時、阪神の高卒ルーキーだった前田大和は、プレシーズンのゲームでオリックス清原と初めて会った。といってももちろん面識はなく、対面したのはベース上。出塁した大和はオーラバリバリの一塁手に頭を下げた。たったそれだけの絡みだったけれど、しかし18歳の遊撃手はうれしかった。これが、あの清原さんか…と。
34歳になった大和は、もうあの頃のキヨさんの年齢に近づいている。藤田一也が楽天から復帰する昨オフまではチーム最年長。「ベイスターズの顔」宮崎敏郎よりも歳上なのだ。
元気やなっ!
試合後サシで話すことが叶っていたら、僕は大和にそんなふうに声をかけたと思う。防御率トップだった西勇輝からタイムリーを含む2打数2安打。阪神側からすれば、強烈な〈恩返し〉をくらう格好だけど…相手が相手だけに何とも複雑である。
大和がFAで阪神を去ってから2月は必ずDeNAのキャンプ地宜野湾へお邪魔し、話を聞くようにしてきた。阪神戦はやはり「気持ちが違います」と、大和は語っていた。昨年はちょっと力んだか…ときに空回りしていたようにも見えたけれど、今年はひょうひょうと簡単に打っているような。
対阪神戦・365、2本塁打。10打点と打ちまくった20年シーズンがまさにそうだった。
秘訣(ひけつ)でもある?もしや、打てる気しかしない?
2年前にそう聞けば、大和は笑っていたけれど、あれだけの守備をされて、これだけ打たれたら、こっちはたまらない。
キヨさんが「注目選手」に挙げる牧秀悟は、新型コロナの陽性判定を受けた影響で1軍復帰はまだ先になりそう。ならば、今季打撃好調の大和をどんなふうに見るのか。タイプはまったく違う打者だけど、古巣撃ちに燃える矜持は、ぜひ解説を聞いてみたい。
もちろん、輝のバッティングもキヨさん目線でどう映るのか興味がある。嗚呼ソワソワしてきた。僕も何か、阪神タイガースのことをキヨさんに聞いてみたい。いや聞いてみよう。=敬称略=