全員で強くしていく

 【1月28日】

 キャンプインまであと3日。デイリースポーツのトラ番メンバーも新しくなり、矢野阪神3年目の取材も〈臨戦態勢〉が整った。僕も紙面の端っこで、彼らと共に2月の虎を盛り上げていきたい。

 前々回の当欄でジョー・バイデン米新大統領の就任演説について書いた。今こそ「Unity」=「結束」が求められるという談話から、それは我らがタイガースにも通ずることだと繋げた。

 本当にそう思うから書いたのだけど、僕らの仕事で陥りがちなのは、思い上がり。偉そうな筆の当人は「どやねん」ということだ。

 今回でいえば、「阪神は結束すれば勝てる」と書いたけれど、じゃあんたらの組織は勝つ(いい紙面を作る)為に「結束」できてんの?ヨソに結束せえよと書いておいて、あんたらバラバラやったら説得力ないで…というハナシだ。この種は、実はしょっちゅう阪神の球団幹部と話すのだけど…。

 キャンプ前最後の当欄だから、そのあたりを顧みて今シーズンの自分のあり方を考えてみる。

 昨年12月、トラ番キャップの西岡誠、そして、トラ番エースの田中政行から立て続けに電話をもらった日がある。2人とも〈退任〉の挨拶だったわけだけど、西岡は「至らない点が多く、風さんにご迷惑をお掛けしたこともあったと思います」-。このスペースで内輪話を書くこと(ポリシーに反します)をお許しいただきたいが、僕も西岡に謝った。「力になれず申し訳なかった」と。昨年ウチの阪神取材班は「結束」できていたか。そう問われれば、胸を張って「イエス」とはいえないと思う。頭が昭和の体育会系のオッサン記者はいまどき古臭いし、若い人から敬遠されがちなんだけど、西岡や田中は体育会系でありながら、バランス感覚のとれた優れた人材で、だからこそ僕のような年長者がもっと…って収まらないのでこのへんにしておくが…。

 要は、前へ進むために「自省」が不可欠ってことを言いたい。

 昨秋、印象的だった矢野燿大の発言にこんなものがある。

 「僕たち自身の意識を高くやるために、そういうもの(コーチの新担当部門)を付けさせてもらってやっていきます。僕たちのチームは、全員で強くしていかないと(いけない)」

 これは、オーナー藤原崇起にシーズン終了を報告した際の会見である。その日、矢野の続投が正式に決まり、コーチ陣を発表。守備走塁コーチに「分析担当」「バント担当」を加えるなどした点を説明したわけだけど、「全員で強くする」との決意こそがすなわち、「結束」だと僕は捉えている。

 ヘッドコーチ交代も理由があるだろうし、打撃部門に厚みを増したこともそうだけど、すべては矢野が自軍を顧み、また自省し、前進する為に施した思い切った改革だろう。過去の政権を見てもシーズン最中に立ち止まって反省するのは難しいこと。だけど、矢野はきっと昨年の矢野ではない。契約最終年を迎えたあり方に注目し、2月1日を待ちたい。=敬称略=

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