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鳥谷敬のすてきな笑顔

 【2月5日】

 雨模様の宜野座にレジェンドと呼ばれるプロ野球OBがわんさかやってきた。山本昌、赤星憲広、福本豊ら、そのほとんどが新聞社やテレビ局の対談企画で来訪するわけだが、この日、メディアのお目当ては鳥谷敬に集中していたようだ。復権を目論む背番号1がどのようなキャンプを過ごしているのか。阪神ファンのみならず、プロ野球ファンが注目している。

 「どうですか?沖縄キャンプは?トリは元気そうですか?」

 宜野座ドームでショート争いの面々を追っていると、僕の取材を見透かしたように、鳥谷が信頼を寄せる人物から電話があった。長く名手のグラブを手掛ける久保田スラッガー社の和田卓也である。

 先月、プライベートで大阪のスラッガー本社へ出向き、年始の挨拶をしたばかり。そのときも鳥谷の話題になったのだが、この時期大阪で仕事に追われる和田はやはり沖縄の様子が気になるようだ。

 「関西の新聞に『鳥谷が第1クールのMVP』みたいな記事が載っていたので、トリにLINEしたんですよ。『1面になってるぞ(笑)』って。そうしたら『体がよく動く』って返ってきたので、良かったなと思ってね…」

 新たにショート用のグラブを提供した和田は言う。「グラブを渡すときトリと二人で『もう一度、ゴールデングラブを獲ろう』と話しました」。19年モデルは職人として思い入れが半端ないようで。

 鳥谷の海外自主トレ(場所は非公開)にも同行していた和田によれば、とにかく「今年は笑顔が多かった」そうだ。「初心に戻るじゃないですけど、もう一度ショートで勝負できるという前向きな充実感があるんだと思いますよ」。

 背番号1の海外トレは取材対応がなかったため、写真も映像も見ていないけれど、和田が証言する「笑顔」ははっきり目に浮かぶ。

 「大人になると経験や常識に縛られて抑制的に振る舞うけれど、すてきな人って、楽しそうで生き生きしていてどこか子供っぽい。ぼくは『子供みたいだね』って言われ続けたい」-。

 この言葉は昨年「日経新聞」のインタビューにこたえた山本昌のものである。宜野座で山本の大きな背中越しに鳥谷を眺めながら、そんな記事を思い出した。

 今キャンプは藤浪晋太郎のバイタリティーや鳥谷の笑顔が一際眩しく映えるのだが、これって山本昌の表現がしっくりくるのかもしれない。「すてきな人」…だ。

 鳥谷のインタビューを終えた赤星と、ひょんなことから互いに大好きなサッカーの話題になり盛り上がった。地元愛知の選抜チームに選ばれるほど、少年時代サッカーに没頭していた赤星は「この年になった今もやるのは、実は野球よりも、フットサル。童心に戻れるというか、楽しいんです」。きっと彼にとって「子供みたいになれる」至福の時間なのだろう。

 経験や常識に縛られ、抑制的に振る舞えば、鳥谷はショートに再挑戦しない。どこか子供っぽく、生き生きしている鳥谷を見ていると、こちらも楽しい。=敬称略=

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