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矢野燿大の「あり方」

 赤ちゃんの頭をなでる矢野監督(撮影・高部洋祐)
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 【11月18日】

 野村克也が今週号の『週刊ベースボール』でこう綴っている。

 「中心なき組織は機能しない。中心がしっかりしていれば、チームはどんどん良くなっていく。逆に言うと、中心となる選手がいなければ、監督としては、もうお手上げだ。“怖い監督”と化し、強権発動、強制、強制で形にするしかないだろう」

 野球の考え方から練習、実戦にいたるまで模範となる選手が存在するチームは機能するし、強くなる。監督やコーチはみんなに「その選手を見習え」と言っておけばいい。「ノムラの考え」である。

 18日間のキャンプを終えた矢野燿大は「阪神の中心」が誰なのかはっきり答えを出しただろうか。安芸のメンバーが全てではないのであえて聞かなかったが、来春2月には是非とも確かめてみたい。

 かつての野村阪神は「中心なき組織」であった。3年連続最下位という結果をみれば、チームが機能したとはとてもいえないので、ノムさんは間違いなくそう感じていたことになる。名将に物申すのは大変恐縮だけど、チームの中心を〈つくりあげる〉のもまた、監督の仕事だと僕は感じる。

 仮に、誰からも尊敬される模範の選手がいても、その存在をチームの中心で機能させられるかどうかは、監督の手腕、マネジメント次第。ヤクルト時代はそれに成功したが、阪神ではうまくいかなかった。(「存在しなかった」とノムさんは言うかもしれないが)。これが真実ではないだろうか。

 来季、タイガースのキャプテンは代替わりするという。福留孝介の後継者は誰か。2年前、福留は「いずれ鳥谷に返したい」と語っていたけれど、矢野は誰を指名するだろう。糸原健斗を推す声をチーム内で聞いたこともあるが…。

 お前が中心になってこのチームを引っ張ってくれ。指揮官から心ある言葉で頼りにされ、意気に感じない選手はいないだろう。

 矢野と話していていつも感じるのは、何も繕わない、格好つけない〈素のまま感〉である。これは選手に伝わると思うし、本音の意思伝達がうまくいけば「中心なき組織」には陥ることはない筈だ。

 組織のリーダー論について矢野と話したことがある。新監督は僕にこんな持論を語ってくれた。

 「結局、『やり方』じゃないんよ。『あり方』なんよな、自分の…。例えば、俺がデイリースポーツの風の上司とするやん。部下に『ああやれ!こうやれ!』って言うと絶対反発がくるだろ。『お前こんな記事書いてこい』って。これって『やり方』じゃん。でも俺自身の『あり方』を変えたら、下の人間も変わると思う。相手(の考え方)を変えようと思っても、相手はそんなに変わるものじゃないからさ。自分自身を変えていかないと…って、俺は思うんよ」

 あくまで僕の見方だけど、矢野は〈実は〉金本以上に厳しい監督だと思う。でも、その厳しさの行く先を見誤らないよう自問し、勉強を忘れないリーダーでもある。矢野の『あり方』を楽しみに取材していきたい。=敬称略=

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