阪神まさかのV逸だけど…平気、平気 カナダ出身の虎党がそう思える理由

 今年のペナントレースは阪神ファンにとって、残念な結末になってしまいました。スポーツ紙、選手やファンのSNSで一番よく見る言葉は「悔しい」です。確かに「16年ぶりの優勝間違いなし!」と思っていたファン、それに選手、首脳陣の皆さんは頭を整理する時間が必要かもしれません。でも…カナダ人の僕は?平気、平気。

 なぜかというと、やっぱり背景には生まれ育った文化があると思います。日本では開幕戦から「ペナントレース」という言葉を用いるけど、メジャーリーグはシーズン終盤しかその言葉を使わない。いわゆる「優勝」が決まる10数試合前までは口にしないし、考えもしない。というか、ペナントの意味がそもそも違う。

 日本の場合は、レギュラーシーズンを1位で終えた球団のタイトルになっていますが、メジャーリーグの場合は、プレーオフを勝ち抜いてワールドシリーズに出場するチームがペナントを獲得(=優勝)することになる。アメリカと日本のプロ野球の違いを考えると、日本でレギュラーシーズンを重んじる傾向は理解できる。プレーオフに進出する可能性が高いのは日本だ。12球団中6球団がCSでプレーできるのだから。

 一方、アメリカの場合は30球団の中で10球団しかプレーオフに進めない。しかもたった1試合で敗退する球団が2つある。頂点への道はかなり厳しく、だからこそプレーオフを重視している。日本プロ野球の論理も理解できるけれど、首位チームがCSで敗退して日本シリーズに進出できないのなら“北米的”にはその首位チームを「リーグ優勝」とは考えづらい。

 CS制度に反対だという日本のプロ野球ファンは少なくない。6球団中3位なのに、それが短期決戦で勝った場合に本当に強いと言えるのか?という意見はよく耳にするし、その心情も理解はできる。でも私が育った北米のプロスポーツファンは、首位でないチームがプレーオフで勝ち進む姿を応援する傾向がある。それがたとえ自分の贔屓球団じゃなくても。

 プレーオフで本領発揮してレギュラーシーズンの王者を倒し、チャンピオンになる。そういうチームを英語で「underdog」という。英和辞書で調べたら「勝ち目のないチーム」「人生の敗残者」「弱者」と和訳されている。すごくネガティブに聞こえるけれど、実際にはポジティブに捉える人が多い。いわゆる「下剋上」に近い感覚だ。達成したらめっちゃかっこいいし、歴史に残るドラマになる。

 僕は、阪神の16年ぶりVを切に願っていました。けれど間もなくCSが始まります。皆さん、気持ちを切り替えて前だけを見ましょう!まずは宿敵巨人を倒して、その勢いで東京に乗り込み「アンダードッグ」としてヤクルトを下し、日本シリーズで王者になってほしい。リーグ優勝を逃しても、まだヒーローにはなれる。がんばれ、阪神タイガース!

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。

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