元虎助っ人のムーア氏、アリアス氏とオンライン・ミーティングで交流

 30日に阪神ファンには夢のようなミーティングに参加させてもらった。「ベースボール・オンライン・ミーティング」。一般社団法人日本プロ野球外国人OB選手会(JRFPA)が元阪神のジョージ・アリアス氏とトレイ・ムーア氏を招き、ズームを通してファンと濃密な交流を提供してくれた。

 JRFPAは2018年にウィリアム・ブルックス氏によって創設され、200人ものプロ野球の外国人OBに入会している。ブルックス氏は阪神ファンで、1960年代に大活躍した故・ジーン・バッキーと会話を交わしていた時にこのNPOのアイデアが思い浮かんだという。「日本で活躍した後、帰国してから日本とつながりにくいと悩んでいる選手は多くいるということに気づいた。なんとかこの選手たちを日本にいるファンとの架け橋になりたい」

 アリアス氏は6年間、3球団(オリックス、阪神、巨人)とプレーしたが、最も印象に残っているのは2003年の活躍ぶりでしょう。38本塁打107打点にゴールデングローブ賞と、阪神の18年ぶりのセ・リーグ優勝に大きく貢献した。現在は自分の故郷のアリゾナ州・ツーソン市で野球アカデミーを運営しているという。新型コロナウィルスの影響で通常通りの営業ができなくなり、自分の子供に野球を教えている。実は、息子のジョージJr.は、アリゾナ大学で投手として野球をやっている。目標の一つは、日本でプレーすることだそうだ。

 アリアス氏は日本で放った思い出のホームランを聞かれると、息子が観に来ていたオールスターゲームでのホームランだと躊躇なく答えた。第1打席は内野フライで倒れて息子は怒っていたけど、次の打席でしっかりとホームランを打って、喜んでもらえたことはずっと忘れられないという。

 何よりも、ファンのことを鮮明に覚えていて、感謝の気持ちが伝わった。「調子の悪い時こそ応援してもらって、たくさんのエネルギーをもらったよ。ファンはまるで10の選手のようだった」

 アリアス氏がミーティング中に困惑する場面があった。それはファンから「今も応援歌を覚えていますか」と聞かれた時。「歌詞は覚えてないけど、応援自体は忘れられないよ」。するととその時、ムーア氏は大声で「六甲おろし」を完璧に熱唱した。共にミーティングに参加したファンはみんな大喜び。「現役時代はお立ち台でファンと一緒に歌いたかった!」とムーア氏。

 2年連続二けた勝利をマークした左腕だが、日本でプレーしたのは3年(阪神2年、オリックス1年)。その間に日本語をものすごく吸収した。六甲おろしだけではなく、ミーティング中にもしばしば日本語を混じえながら発言していた。

 投手でありながら打撃力も高かったムーア氏は一番の思い出として、2003年の巨人戦のある打席を挙げた。「確か、ジョージが2塁にいて、1塁に誰かがいた。1アウトで、ベンチからバントサインが出たかもしれないけど無視したよ(笑)粘ってファウルを打って、結果的に左前のタイムリーで均衡を破り、ジョージが生還して1-0で勝利した試合が最高だった」。その話にはすかさずアリアス氏が「もしそのままバントをしていれば、オレは3塁で封殺されていたかも」と補足して笑いを誘っていた。2人のいろいろなエピソードが聞けたオンライン・ミーティング、企画してくれたブルックス氏に感謝だ。

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。

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