阪神・藤川監督提案プロテクターの導入が見送られた背景 「フェアではない」「投手不利になる」などの声も

 7月17日の広島戦、死球を受ける前川
 4月26日の広島戦、死球を受ける近本
 8月29日の巨人戦、死球を受ける森下
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 阪神・藤川球児監督(46)が、死球から肩甲骨や手首を保護するプロテクター(防具)をメーカーと製作し、NPBに使用許可を求めたが認められなかったと8月29日の巨人戦後に公表した。その試合では森下翔太外野手が今季16個目の死球を腕に受けて退場。幸い大事には至らなかったが、今季も死球禍は問題となっている。「阪神の選手も他球団の選手も守りたい」と指揮官自ら動いたという防具はどういうものだったのか。使用許可がいったん見送られた背景を追った。

 森下が左手首に死球を受けて退場した29日の巨人戦後。藤川監督は会見の席で口を開いた。

 「4月からメーカーに問い合わせて、NPB全員の選手に肩甲骨から手首というのはどうでしょうか、というのを提案して実際に製作して。なかなか許可は出ずに」

 死球による故障防止の防具開発に自ら動いたものの導入に至らなかったことを明かした。

 関係者によると、この特製防具はユニホームの下にインナー的に装着して背中や肩を守る新たな形状。既存の防具のように外見上、装着しているかどうかを判別できないため「フェアではないのではないか」との指摘があったという。さまざまな疑念を生まないためにも「防具は外に着ける」のが原則。野手と接触した際の安全性や、守備中にユニホームの下の防具をどう取り扱うのかといった問題もあり慎重な対応が取られたようだ。

 打者と投手とのバランスへの配慮もあったという。セ、パ両リーグのアグリーメントには「プロ野球で使用する用具規定・ドレスコード」として打者が使用可能な「レガース」「エルボーガード」「手甲ガード」「リストガード」「フェースガード」などの防具類が列挙されている。脚、ひじ、手の甲、手首、アゴなどを保護することが可能となっており、すでに打者の防御態勢は十分に整っているのではないかとの見方もある。

 一方の投手は防具をつけることなく生身でマウンドに立って打者と対峙(たいじ)する。バットが飛んできたり、ピッチャーライナーに襲われたりする危険性とも隣り合わせという現実がある。

 保護されている打者側には、打席で踏み込んでくる、避けないなどの傾向も見られ、現場の投手からは「投手不利になる」と不公平感を訴える声が以前からあった。そうした点も導入見送りの理由のひとつになったという。

 ただ、今季は阪神・前川右京、中日・村松開人、土田龍空のように死球によって防御していない肩甲骨を骨折する事態が相次いでいる。今回の藤川監督からの提案は総合的な判断から受け入れられなかったが、NPB側も扉を完全に閉ざしているわけではない。必要なものがあればシーズン中であっても、精査の上で導入されるケースはあるという。

 「野球をする上では死球はある程度仕方ない面もあるが、死球によるケガで選手が離脱するようなことがない方がいいのは分かりきったこと」と関係者は話す。

 投手目線、打者目線、両方のバランスを保ちつつ、死球禍からいかに選手を守るかは、今後も継続した課題となる。(デイリースポーツ・若林みどり)

 ★阪神今季の主な死球禍★  

 4月26日 近本が広島戦で死球を受けて左手首を骨折。

 7月17日 前川が広島戦での死球で右肩甲骨の骨折。

 7月19日 大山が広島戦で死球を受け、両軍がベンチから飛び出し一触即発の空気に…。

 7月25日 佐藤輝が巨人戦で左手首付近に死球。実に2024年9月6日・ヤクルト戦以来の死球だった。藤川監督が「セ・リーグで一番与死球が多いのは巨人」と指摘。

 8月29日 森下が巨人戦で左前腕に死球。藤川監督が打者を死球による故障から守る新たなプロテクター導入をNPBへ提案していたことを明かす。森下は翌30日の同戦でスタメンから外れる。

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