阪神・下村 トミー・ジョン手術乗り越えプロ初登板初先発 「いつも背水の陣なんだ、と。もう目いっぱいやってほしい」【父・毅さん手記】
「阪神2-3中日」(2日、甲子園球場)
2日の中日戦(甲子園)でプロ初登板初先発を果たした阪神・下村海翔投手(24)の父・毅さん(55)がデイリースポーツに手記を寄せた。プロ1年目に決断したトミー・ジョン手術から2年以上。1軍のマウンドに立った息子への思い、支えてくれた球団やファンへの謝罪と感謝を打ち明けた。
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プロ野球選手になった海翔が試合で投げる姿を球場で見るのは初めてでした。ファームでの登板はどうしてもタイミングが合わず…。やっとプロ野球選手になれた、そのスタートラインに立てたんだと、うれしく思います。
ただ、球団の方々やファンの皆さまに一番伝えたいのは「本当に今まで申し訳ございません。そして、ありがとうございます」という思いです。入団してすぐにトミー・ジョン手術。長らく投げられない期間があったという経緯もありますから、「おめでとう」と伝えるのもおかしな話。何にせよ、これから。これからが本当に頑張らないといけない時です。
昔から野球のことで、どうのこうのとあまり言わないようにしてきました。本人から話してこない限り、野球の話はしません。小学生の頃からずっと野球漬けで、四六時中野球のことばかりでしたから。せめて家の中では、と。私自身が家に帰ったら、仕事のことはパッと忘れたいタイプで、海翔も多分そういうところがあると思うんですよね。
だから、2年前に下した大きな決断も、全て本人と球団の方にお任せして何も言いませんでした。先輩方にもアドバイスをいただいて、最終的には球団の方と本人とで決めたことですから。ただ、内心は…すぐにユニホームを脱ぐ時が来るかもしれない、と。心の中で緩やかに覚悟していましたが、海翔の人生なので海翔が決めたらいいと。
見るからに明るい表情なんてありませんでした。大学時代もリハビリ生活を経験していたけれど、その時よりもつらそうに見えました。大学野球と違って、プロ野球は“職業”です。本人としても、その違いがやっぱり一番引っかかったんでしょうね。
「しんどいやろうな」と、ずっと思ってました。声をかけてあげたかった。でも、やはり野球の話はしませんでした。相当なプレッシャーがあったと思う。だから、せめて家の中では余計なプレッシャーをかけたくなかった。非難も浴びたと思う。だから、せめて家の中だけは守ってあげられる環境をつくってあげたかった。そんなふうに家族全員が思っていたように感じます。
今年5月にファームで初めて試合で投げた日。家族LINEに「お疲れさま」と送ったら、珍しく「さすがに緊張したわ」と返ってきました。「そりゃそうやろうな」と思うとともに、またマウンドで投げられるようになってホッとしました。
でも、それはこちち側だけの話で、ファンの方々からしたら「まだまだ活躍してくれないと」と思うのは当然。だから、親が喜んだなんて話はするもんじゃないと思うんですよね。全然チームの力になれてない。それは本人も大前提で思っているでしょうから。
息子はそういうことをずっと背負って生きてると思うんです。今年で終わりぐらいの気持ち。ユニホームを脱ぐことになってもおかしくないという気持ち。いつも背水の陣なんだ、と。
だからこそ、もう目いっぱいやってほしい。監督、コーチの皆さんに「起用したい」と思ってもらえるような、ファンの皆さんにも認めてもらえるような姿が出せればいいなと願っています。
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