阪神・藤川監督 冷静さの裏にある「情熱」侍組に説いた「止まらないことの大切さ」愛情表現も直球、若手に革靴贈る
「巨人0-2阪神」(28日、東京ドーム)
球団史上初のリーグ連覇に挑む1年は、くしくも伝統の一戦から幕を開けた。現役時代は「打倒・巨人」に生きた阪神・藤川球児監督にとって最高の舞台。「魔球・火の玉」と称された投球同様に、指揮官としてもストレートに生きる。細かく、冷静に進めるマネジメントの裏には「情熱」がある。3月16日のことだった。
第6回WBCに日本代表として出場し、準々決勝・ベネズエラ戦で敗れた坂本、佐藤輝、森下を千葉のチーム宿舎に合流させた。同日午後、チャーター機で成田空港に到着。数日間の休息を設ける球団が多い中、異例の決断に球団内でも驚きの声があった。夕刻、千葉の宿舎に到着した3人をホテルの自室に呼んだ。
日本を代表して過ごした激闘の日々をねぎらった上で、伝えたのは「止まらないことの大切さ」だ。現役時代に06、09年の同大会に出場した。06年に西岡剛氏、同年と09年に同じユニホームを着たイチロー氏や、大谷翔平らの名前を例に「一流の選手は大会後に立ち止まらなかった」と説明。「自分は一度、気持ちを切ったら立ち止まってしまった」と経験談を語り、超一流を目指してほしいんだと熱い思いを伝えた。
翌17日。ベンチ裏に選手、スタッフを集めミーティングを開いた。再合流した3人を拍手で迎え入れ、皆にも思いを伝えた。「勝った、負けたでアスリートが立ち止まる必要はない。ここからまたチームとして、阪神タイガースとして戦う。全てを糧にし、常に磨き続けよう」。黙って、積む-プロとしての矜持(きょうじ)を伝えた。チームの結束力を高めた異例の決断。森下は翌18日のロッテ戦、ホームランの結果で思いに応えた。
伝えるメッセージがストレートなら、選手に向けた愛情表現も真っすぐだ。昨年、プロとして初勝利、初本塁打を記録した伊原、門別、中川、高寺らには、高級ブランド「Berluti(ベルルッティ)」の財布と革靴をプレゼントした。遠征の合間にできた空き時間、自ら百貨店に足を運んで自腹購入。財布には「大金を稼げる選手になってほしい」、革靴は「力強くプロ野球生活の第一歩を踏み出せ」と思いを込めたプレゼントだ。
一気ブレークの予感漂う中川は遠征時の移動で革靴を愛用。「監督室でいただき、すぐに使い始めました。活躍して恩返しがしたい」と思いを力に変える。財布を使う高寺も「うれしかった。もっともっと稼げるように頑張ります」と誓い、同じく伊原も「このチームが優勝するために貢献したい」と、グラウンドで感謝を形にする覚悟だ。無限の可能性を秘める若虎たちも、思いをストレートに受け止めている。
「強い“つもり”というのが一番ウソっぽいよ。強くも弱くもないし、何も始まってないですから。今、両手には何もない」。昨季王者の栄誉は「もう忘れた」と笑う。リーグ連覇を狙う2年目の今季、達成すれば2リーグ制導入以降、球団史上初となる。球団創設91年目。この間、誰も成し得なかった頂への挑戦だ。重い歴史の扉は開くか。始まりの1勝からVロードを真っすぐに走る。(デイリースポーツ阪神担当キャップ・田中政行)
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