阪神・藤川監督「いやー、選手たちが強いわ!」 NPB史上最速V!実力主義にデータと肌感覚併用、虎新人監督初の偉業

 「阪神2-0広島」(7日、甲子園球場)

 甲子園の夜空に5度、舞った。優勝マジックを1としていた阪神が2-0で広島を下し、2023年以来、2年ぶり7度目のリーグ優勝を達成した。就任1年目の藤川球児監督(45)は阪神の新人監督では史上初のV。9月7日の優勝は1990年9月8日の巨人を上回り、2リーグ制以降では史上最速となった。投打に隙のない戦いを続けてきた藤川阪神が、2位以下を大きく引き離す大独走でゴールを駆け抜けた。

 超満員の甲子園に虎党の絶叫がこだました。頼もしいナインたちに拍手を送りながら、藤川監督は歓喜の輪へ。不動の4番に成長した佐藤輝、リリーフの柱となった石井、自慢の投手陣を引っ張った坂本…みんな笑っている。NPB歴代最速、阪神の新人監督では初のリーグ制覇だ。若き将は人さし指を夜空へ突き上げ、喜びをかみしめた。

 「いやー、選手たちが強いわ!胴上げされている時は、ファンのみなさまを代表している気持ちで上がっていました。本当にみなさんの応援があってここまで来ました。最高の気持ちです!」

 球児流マネジメントを推し進め、Vロードを突っ走った。「名前や顔じゃない。年齢も関係ない。力が全て」。過去の実績にとらわれず実力主義を貫いた。「自分の時間はなかった。家庭の時間も」。監督業に没頭し、勝利にとことんこだわった1年。試合前は入念にゲームプランを練る。監督室に入ってきたスタッフに気づかないことも。野球の進化に合わせて「データは大事」とフル活用する一方、練習を見た「肌感」も忘れない。ミーティングでは経験に裏付けされた配球、対策を惜しげもなく伝授した。

 唯一の試練は交流戦。投打の歯車が狂い7連敗を喫した。それでも「勝ち星は天気予報みたいなもの」と達観。仙台遠征から戻ると、勝敗を付ける監督室のホワイトボードに「梅雨休み」と記した。選手には「フラットに行こう」と呼びかけ、直後に11連勝。横浜での球宴2戦目の夜は出場選手と食事へ。トークを回して絆を強めると後半戦も加速。徹底したコンディション管理で大きな故障者を出さず、ペナントレースをぶっちぎった。

 頑固で大胆不敵な土佐のいごっそう。選手のため、虎の変革にも乗り出した。「タイガースは一番トップが苦しい」。本来リスペクトされるべきスターが批判にさらされる矛盾。自身も経験したからこそ試合後は選手に敗因を求めなかった。「よく眠れるように」。試合開始から4時間ゲームに集中。終われば「デイバイデイ」。個人ではなくチームで戦い抜いた。

 心休まる瞬間は家族とのひとときだ。引退後4年間は1男2女の子どもたちと人生を満喫した。スノボ、釣り、バーベキュー。庭の芝刈りにも夢中になった。「それまで父親らしいことをしてあげられなかったから」。仕事は週末だけ。本を読み、人と会い、世界を広げる。監督を引き受けると芝は人工芝に変えた。慌ただしい日々の中、妻の手料理に感謝、子どもたちとグループラインで近況を報告した。愛犬の散歩、誕生日会…、何げない日常がいとおしい。

 過去は振り返らない性格。珍しく手元に残したものが11連勝を報じた7月11日付本紙だ。1面に虎のしっぽ11本。「妻が買ってきてくれたのかな。自宅にあって。自分のことは興味ないけど、みんなが頑張ってくれたものだから」。連勝しっぽは自身の発案。ここまでの78勝も、1勝ずつの積み重ねだ。

 「3月にはドジャースとカブスを倒しましたので(笑)。阪神タイガースファンは今、最も日本で熱いファン。100周年まで10年ありますけど、この伝統を引き継いで世界に誇れるタイガースにしていきましょう!」

 球団創設90周年。伝統の重みをかみしめ、藤川監督は声を張り上げた。2年ぶり日本一へ。リーグチャンピオンの誇りを胸に、再び頂点に立つ。

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