「阪神２－１ヤクルト」（１３日、甲子園球場）

　阪神が２連勝で今季最長の５カード連続勝ち越しに成功した。

　劇的な幕切れに甲子園が沸騰した。九回は岩崎が１点差に迫られ、なお１死二、三塁。増田の右飛で同点の犠牲フライかと思われたが、右翼手森下が本塁へスーパー返球を送りアウトになった。リクエストでも判定は覆らず試合終了。甲子園から大歓声がわき起こった。

　代走・武岡の生還を阻止。ここ一番でのスーパープレーはなぜ生まれたのか。試合後、お立ち台の森下は「嬉しいです。フライがきたら絶対に刺してやろうと。イメージ通りに投げることができました」と胸を張った。

　藤川監督が「ポジショニング等々、各シフトと、準備していたものがきれいにいった」と振り返ったこの場面。筒井外野守備走塁コーチは守備位置について、「定位置じゃちょっと勝負が厳しいと思っていたので、浜風も踏まえて少し前めに守ったんですけど、思いのほか（打球が）伸びたので」と語った。

　高く上がった打球に対し、森下は冷静に下がりながら落下地点よりやや後ろへ。ステップを踏み勢いをつけながら捕球すると、捕手・坂本へ完璧なワンバウンド送球を投げ込んだ。筒井コーチは「『滞空時間もあったから』と本人も言ってましたけど、ああいうところは信用していますので、思い切ってくるかなと思っていました。ファウルゾーンは捕るなの指示の中でのあのプレーなので、非常に良かったです。判断もね、（落下地点の）後ろからも来れていたし、彼の持ち味ですよね。勝負強いというところは本当に素晴らしいですよね」とうなずいた。

　完璧なストライク送球に、森下自身も「自分の指にもかんだ感触がありましたし、送球のラインも合っていた。リクエストありましたが、アウトだろうと確信していました」と納得の表情。準備、打球への入り方、送球全てがパーフェクトなプレーとなった。

　打撃だけでなく、守備でもチームに貢献。森下は「筒井コーチと守備練習もやっているので、守備と走塁は１００％を目指して、引き続きやっていきたい。勝ってますが、気を引き締めてまた勝ちたい」と声を張り上げた。