阪神・坂本 投手に魔法をかける言葉 タイミングや性格を見極めて 及川「もうサインに全部うなずいて投げた」

 9回を締めくくった岩崎(中央左)とマウンドへ向かう坂本(同右)=撮影・立川洋一郎
 最後を締めた岩崎と握手する坂本(撮影・田中太一)
 お立ち台で手を振る坂本(撮影・田中太一)
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 「中日1-5阪神」(25日、バンテリンドーム)

 ファンの声援に応える姿が実に絵になる。阪神・坂本誠志郎捕手(31)が、先制スクイズに決勝の2点適時二塁打をマーク。リードでも3投手を引っ張り、攻守で勝利を導いた。前回3連敗を喫した敵地での勝ち越しを決め、首位をキープ。地道にチームを支え続ける男がヒーローになるところも、今の猛虎の強さだ。

  ◇  ◇

 坂本の言葉は投手に魔法をかける能力があると勝手に思っている。タイムを取ってマウンドに駆け寄ると、不思議と点を取られる場面が少ない。そんなことを、ふと本人に言うと「次から行きにくくなるやん」と笑われたが、タイミングや性格を見極めての言葉のチョイスがあると教えてくれた。

 4月12日の中日戦では九回2死三塁の1ボールから、工藤の元へ足を運んだ。「抑えるってことに対して責任を持って、一緒にやっていきたいと思ってるから」。制球に苦しむ右腕をささいな一言で変え、無失点へと導いた。及川には「書いてください」とお願いされたことがある。

 同17日のヤクルト戦で左腕は延長戦でのイニングまたぎを任された。緊迫する場面。不安もあった。そんな時、ベンチで言われた。「配球とかは全部俺に任せろ。おまえは自分の投球だけに集中しろ」。負の感情は自然と消えていった。「もうサインに全部うなずいて投げたもん」。間違いない。坂本の言葉には見えない力が宿っている。(デイリースポーツ・今西大翔)

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