阪神・湯浅が997日ぶり星 吠えた!延長十回0封 グラブに刻み込んだ「起死回生」の意味

 「中日0-3阪神」(23日、バンテリンドーム)

 ピンチをしのいだ先に歓喜が待っていた。阪神は2試合連続の延長戦を制して連敗を止め、首位をキープ。十回を1回無失点の湯浅京己投手(25)が国指定の難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復帰後、初勝利を挙げた。2022年8月30日・広島戦(甲子園)以来997日ぶりの白星は、自身にとってもチームにとっても価値ある1勝となった。

 感情とともに大きく跳びはねた。湯浅が渾身(こんしん)の1球を投げ込んだ勢いのまま、グラブをたたいてほえた。力強い投球でつかんだ3年ぶりの白星。「なんとかゼロに抑えていい流れを持ってこられたのでよかった」と笑顔がはじけた。

 0-0の延長十回から登板し、簡単に2死を奪った。続く田中の高くバウンドした打球を自ら捕球後、一塁へ送球。しかし、大きくそれて二塁への進塁を許した(記録は内野安打と投手失策)。

 ここでベンチが上林を申告敬遠し、加藤匠を打席に迎える。際どいコースに投げ込み、最後は高めの131キロのカットボールで見逃し三振に仕留めた。これで今季初登板から10試合連続無失点。防御率0・00の右腕は「ブルペンで勝ててよかった」と力を込めた。

 「起死回生」。今季新調した試合用グラブに思いを刻み込んだ。「(黄色靱帯骨化症の)手術をして、生き返らせてもらった。術後の右足を上げた時の感動は忘れられない。全く違う体になったイメージがあって、新しい自分を作るっていう意味で」。並々ならぬ思いで臨む25年シーズンに対する覚悟の表れだった。

 プロ7年目で初めて刺しゅうした言葉だった。小指の手のひら側にグラブと同じ黒い文字で「他の人に見せるものじゃない。自分だけが分かればいい」と、あえて自分にしか見えないように刻んだ。

 言葉の意味は「医療の進歩によって死にかけた人をよみがえらせる」という意味を持つ。医師への感謝も込めた。加えてウェブなども変更。イニシャルである「A・Y」と、これまで刺しゅうしてきた「雲外蒼天」にちなんだ虹の絵を入れてこだわり抜いた。

 延長十一回に近本が勝ち越し打を放つと、三塁ベンチでは表情を緩めた。桐敷が離脱し、救援陣も苦しい中でチームの連敗ストップに貢献したことが何よりもうれしかった。

 997日ぶりの白星。試合後はベンチでウイニングボールを受け取った。「一試合一試合、自分の任された場面でやるべきことをやるだけなので。そこはこれからも変わらず継続していければと思う」。頼もしい右腕が帰ってきた。

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