阪神・湯浅 手術「めっちゃ怖かった」2週間の入院生活 友人や家族、岩貞と岩田の励ましが心が支えに
「中日4-1阪神」(29日、バンテリンドーム)
国指定の難病「胸椎黄色靱帯骨化症」から復帰を目指していた、阪神の湯浅京己投手(25)が中日戦(バンテリン)の七回からマウンドに上がり、2023年11月2日の日本シリーズ・オリックス戦(甲子園)以来544日ぶりとなる1軍登板を果たした。最速150キロの直球で1回1安打無失点。チームは9連戦初戦に敗れ、ビジター連勝も「8」で止まったが、鉄壁のブルペンに新たな力が加わった。
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湯浅の背中の真ん中付近には長さ約10センチの傷痕が残っている。昨年8月に胸椎黄色靱帯骨化症の手術を受けた。「めっちゃ怖かった」。手術前から恐怖と不安でめまいや吐き気が止まらず、眠れない夜が続いた。数時間に及ぶ手術。地獄のような時間を乗り越え、再出発のスタート地点に立った。しかし、苦悩の日々は続いた。
術後しばらくは寝たきりの生活だった。野球をすることもできなければ、歩くこともできない。気付けばただ、外の景色を眺めていた。病室の窓から見えたのは陸上トラック。全力で走る姿がうらやましかった。野球選手だからといって病院食の量が特別多いわけではない。コンビニ食で空腹を満たすこともあった。
病院のシングルベッドは身長183センチ、体重83キロの湯浅にとってかなり狭い。それでも「板が入っているみたい」に背中が硬くなるため、寝返りでほぐすなど寝ている時間も“リハビリ”に充てた。動きたくても動けない。そんな葛藤と闘いながら、地道にリハビリと向き合ってきた。
一人で過ごす時間はアーティストのライブ動画やアニメ、ドラマを見て気を紛らわせた。22年7月30日のヤクルト戦で3者連続三振を奪った「いい時」の映像を見て、必死にモチベーションを上げた。
約2週間の入院生活では友人や家族が見舞いに訪れ、桃やブドウなどを差し入れてくれた。岩貞やDeNAに移籍した親友・岩田とのテレビ電話では、励ましの言葉をもらうだけではなく何げない話もした。気に掛けてくれる仲間が支えとなった。
苦しみを乗り越えた先には明るい未来が待っていた。「今が楽しい。やっと来たなって」。不安や恐怖は、もうない。誰よりも苦しんだからこそ、野球ができる喜びを誰よりも知っている。(デイリースポーツ阪神担当・和泉玲香)
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