阪神・桐敷 小山さんと同じ「47」背負いプロ初セーブ 「ニュースを聞いた日に、勝てた」

 プロ初セーブを挙げ、グラブをたたく桐敷。右はガッツポーズする坂本(撮影・金田祐二)
 9回、小山さんと同じ「47」を背負い力投する(撮影・田中太一)
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 「DeNA2-4阪神」(24日、横浜スタジアム)

 勝ちたい-いや、負けられない理由が2つあった。代役にして大役を成し遂げた試合後、バスタオルで汗を拭く阪神・桐敷拓馬投手(25)がポツリとつぶやく。「ザキ(岩崎)さんって、すごいな…」。リリーフとして培った経験も、2点リードの心境もマウンドでは別物だ。114試合目の登板でプロ初セーブ。背番号「47」が勝利をささげた。

 「本当にうれしいですね。なによりザキさんが連投している中で、いない分しっかりとカバーして、中継ぎで一丸となってゼロでいけた。大きい勝利かなと思います」

 拭っても止まらない汗を拭いながら、殊勲者は興奮気味に試合を振り返った。2連投の岩崎、石井はベンチ入りこそしたが、負担を考慮して事実上の休養日。試合前から「九回は桐敷」と伝えられた中、七回の3得点で試合を引っ繰り返し、出番が来た。岩貞、漆原、及川と無失点リレーでつないだバトン。落とすわけにはいかなかった。

 意地を見せるDeNAも2本の安打でつなぎ2死一、三塁。長打なら同点、サヨナラ負けのピンチで蝦名に対し2-2から投じた5球目だ。最後は150キロの直球で二飛に抑えた。九回、桐敷起用の意図を「言えない」と隠した藤川監督も「彼にとって荷物が重いとは思わない。元々、十分にそこで投げられるパフォーマンスを持っている」と評した。

 試合前、ニュースで小山氏の訃報を知った。入団初年度の22年から背負う番号は「47」。直接会ったことも話したこともない。ただ、タテジマのユニホームに袖を通した日から、「47番=小山正明」の残像とともに戦ってきた。数奇な運命に導かれたような登板。レジェンドの思いを感じた。

 「初セーブということもできましたけど、なによりニュースを聞いた日に、勝てたというのは本当に良かった。次も頑張りたいです」。勝利にも笑みを見せなかった。90年の歴史をつなぐ責務を感じた1日に、新たな景色の中で腕を振って球史に残した1セーブ。背番号47にささげた22球を、次なる力に変えて戦っていく。

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