阪神・中川 21歳の現在地 出場機会増へ三塁などで奮闘中 吉田松陰の本でメンタル“修業”
阪神のファームを特集する企画「飛び出せ大物」。新2軍球場の最寄り駅である阪神大物(だいもつ)駅にちなみ、ファームから生まれるスター選手を発掘していく。第2回は中川勇斗捕手(21)を取り上げる。オフはDeNA・牧のもとで自主トレに参加し打撃を磨いた。今年は内外野問わず、サブポジションに挑戦。2年連続で宜野座キャンプに抜てきされ、首脳陣からの期待を集める21歳の現在地に迫る。
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「自分の人生だから、後悔したくない」。中川は取材中、しきりに同じ言葉を繰り返した。ここまで1軍出場はないが、昨季はウエスタンで打率・321と、非凡な打撃センスを発揮した。
本職は捕手だが、昨秋の安芸キャンプでは左翼、今年3月からは三塁にも挑戦し、出場機会を増やすための取り組みを続けている。三塁挑戦から1カ月が経過し、「打球処理などが難しい」と課題も見えた。全ては打撃を生かすためで「幅が広がるんで。どのポジションも同じくらいできるように。もちろん捕手も」と意欲的だ。
オフは打撃修業に取り組んだ。DeNA・牧が主催する鹿児島での自主トレに参加し、汗を流した。現在でも親交が続いている“師匠”から多くのことを学んだ。「待ち方とか打ち方。気持ちの部分で悩んでいて、先日もLINEをしたんですけど、解決しました。この人に聞いておけば大丈夫、安心する。そんな存在です」と絶大な信頼を置く。
そんな中川だが、趣味は読書。最近、読んだ本が野球にも影響を与えているという。タイトルは「覚悟の磨き方」。江戸時代の教育者・吉田松陰の考え方や思想をまとめた書籍だ。「マインドが大事。人間の忘れてはいけないことですよね。感謝とか礼儀。こういうことが野球につながっていきます」と精神面での思考を学んだ。「高校時代は落ち葉拾いとか、今はごみ拾いとかですかね。試合前にしてます。こういうところから(運が)逃げていかないように」と善行を欠かさずに行い、自信につなげている。
大切にしている言葉がある。「苦難上等や。好むものなら修羅の道」-。苦しい道のりに自ら挑むという意味だという。多くのポジションを経験した中川は言う。「挑んでいかなきゃ面白くないでしょ!」。同じポジションのライバルの存在を刺激に覚悟を磨き、1軍初出場をつかむ。
◇中川 勇斗(なかがわ・はやと)2004年1月27日生まれ、21歳。愛知県出身。172センチ、75キロ。右投げ右打ち。捕手。京都国際高では3年時に春夏連続で甲子園に出場。21年度ドラフト7位で阪神に入団。23年5月に1軍初昇格。高校通算18本塁打とパンチ力を秘める打撃が魅力で、「打てる捕手」を目指す。
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