阪神・栄枝 課題は「1軍での経験」正捕手奪取へ欠かせない要素 もう2軍でやることはない

 昨季まで阪神の投手コーチを務めた福原忍氏(48)と、グラウンドに足しげく通う狩野恵輔氏(42)のデイリースポーツ評論家2人による新企画「注目の若虎」。第1回は狩野氏が正捕手を目指す栄枝裕貴捕手(26)を取り上げる。攻守での能力を評価しつつ、「1軍での経験」を課題に挙げた。自身の現役時代を踏まえて、少ない出番でアピールし、経験を積む機会を得る必要性を説いた。

  ◇  ◇

 栄枝選手は大卒5年目で5月に27歳を迎えます。年齢的にも1軍で活躍しないといけない時期ですね。

 阪神の次世代の正捕手候補を見ると、僕はトータルで考えた場合、栄枝選手が一番近い位置にいると思っています。2軍で実戦経験は積んできましたし、特に肩は魅力があります。キャンプで二塁送球タイムを測った時、梅野捕手よりも速かったそうですよ。チームで一番ぐらいの強肩ですし、打撃も悪くはない。もう2軍でやることはないと思っています。

 では、正捕手をつかむためには何が必要なのか。僕も現役時代に感じたことですが、捕手は「1軍での経験」が重要です。試合で経験を積んで、細かいところまで気づいたり、考えたりできるようになるか。技術面とともに、正捕手には欠かせない大切な要素です。

 栄枝選手は現在、梅野選手、坂本選手に次ぐ3番手捕手です。3日・DeNA戦以降は出場機会がありません。ただ、急きょ出番が来た時に「実戦に出ていないので」という言い訳はできません。今季は開幕から1軍に帯同して試合を見る時間があります。限られた出番で印象を残す方法を、常に考えておかないといけません。

 僕の現役時代は正捕手の矢野(燿大)さんがいたので、出番が来れば「矢野さんとは違うことをしよう」と考えていました。途中出場で普通にリードしても目立たないので。常に一発勝負という気持ちで、首脳陣に「お、すごいな」と思ってもらえるように無難なことはしないようにしていました。

 例えば、勝負どころの配球で相手打者の裏をかく。10点差で負けている時なら、チームの次戦につなげるためにも「いつも打たれているところを、どのタイミングで攻めたら打たれないのか」とか、自分が犠牲になってでもデータを残すことも考えました。

 僕はそれを実行するために、常にベンチから試合の流れや相手を観察していました。栄枝選手も地道なアピールで出番を増やして、経験を積む機会を得てほしいですね。

 迷うことや分からないことがあれば、藤川監督にも聞いてほしいと思います。答えてくれるタイプの監督だと思うので。それと、ベンチ内でも監督と藤本コーチの会話を聞いておけば「こういう時はこうしたら打者は抑えやすいんだな」とかヒントもあるはずです。

 梅野捕手や坂本捕手の後釜が成長しないと、球団はドラフト1位で捕手を獲得しようと考えるかもしれません。僕はそうなる前に、技術面でいいものを持っている栄枝選手が正捕手と奪わないといけないと思っています。

 まずはどうやって1軍で出場機会をつかんで、経験を積めるか。そこに尽きると思います。

 ◇栄枝 裕貴(さかえだ・ゆうき)1998年5月16日生まれ、26歳。高知県出身。180センチ、86キロ。右投げ右打ち。捕手。高知高、立命大を経て20年度ドラフト4位で阪神に入団。22年10月2日のヤクルト戦(甲子園)でプロ初安打をマーク。23年9月15日の広島戦(マツダ)では、「7番・捕手」で1軍初先発出場を果たした。

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